第68話 再会①

正樹達の前に現れたミスリル・ドラゴンはただ立っているだけであった。


「ねえねえ。このミスリル・ドラゴン反応が無いわよ?」

明日香がミスリル・ドラゴンの様子を見て感じた事を言った。


「そうね。全く反応が無いわ。」

とみどり。


「このまま通り過ぎてさっさとあの扉まで行こうよ?」

と明日香は全員にそう言うとクラリスが顔を傾げて


「旦那様。今あのドラゴンの眼が光ったように見えました。」


「どれどれ。光っていないじゃないか?」


「クラリスの見間違いじゃないの?」

とみどりは言った途端、リリが叫ぶ。


「みどりさん。違います! あのミスリル・ドラゴンは起動しています!」


「まさか....えええええ!」

明菜はミスリル・ドラゴンの方を向いて驚いた。


ゴオオオオオオオオ!

激しい轟音を出してミスリル・ドラゴンが起動して動き始めたのであった。

ちなみに今立っているミスリル・ドラゴンは翼が無く、タイプ的には地龍と呼ばれている部類の形状をしていて目が黒色であったが今はガーネット色になって雄たけびを上げていたのであった。

するとミスリル・ドラゴンの口から声が聴こえてくる。


『我はこの『勇者の試練』を裁定する者で名はバハムートである。お主らは『勇者の試練』を受けようとする者達か?』


「俺達は隣にいる『聖女』リリアンヌの護衛だ。此処を通して欲しい。」


『そこのエルフが『聖女』だと? 笑わせるなお主ら。』

バハムートは正樹達に呆れた声で言ったが、すぐにリリが説明をする。


「私は「聖域の神殿」で「聖女の試練」を終わらせて「聖女」となりました。それが間違いだと言うのですか?」


『そうだ。間違いである。』


「理由を教えて下さい。」


『お主は神殿の中に入った事があるのか?』


「はい。あります。中に入って祈りをしまして私の身体に光輝いてすぐに消えました。それが『聖女』になった証だと古くから言い伝えになっています。」


『あはははは。そういう風に間違って言い伝えになっていたのか。これは笑える。だから此処に来なかったと言う事か。納得したわ。』


「それはどう言う意味ですか?」


『そなたは一応関係があるから言ってやろう。この森はエルフの聖域ではない。此処は女神エレナが勇者認定する為の試練である。ここ『勇者の試練』は私が勇者かどうか判断する第一の試験の場所でそなたが言っていた『聖域の神殿』で『聖女の試練』と言われているの『勇者の試練』の第三の試験の場であるのだ。そなたの身体が光輝いて消えたのは『聖女』になった訳ではなく、『勇者の試練』での不合格として出た物だ。つまり、『勇者の試練』にて五個の試験に合格しないと『勇者』にはなれないのだ。』


バハムートの説明を聞いた全員は驚くのであった。


『だが、お主らの中で一人だけ『勇者』に近い者がいるので今回だけは通してやる。』


それを聞いたリリは


「その人は誰ですか?」


『それは教えられない....。決まりであるからな。その者が本当に『勇者の試練』を受けるのなら、『勇者の試練』を受ける事が出来るある『証』が必要だ。』


「その「証」とは何ですか?」


『それは女神エレナに聞け。いずれ分かる。今扉を開いた。中に入って突き当たりを左に進めばお主らが言っていた『聖域の神殿』に着くはずだ。』


「ありがとうございます。」

リリはバハムートに礼を言う。

そして正樹は


「急いで行くぞ。」

と声をかけて開いた扉の中に入って行った。

中に入ると一本道になっていてしばらくすると道が二つに分かれていた。


「此処を左だな。急ぐぞ。」

正樹達は左折してそのまま進んで行くと目の前に階段が見えてきた。

階段を登って行くと空が見えてきた。


「やっと。着いた。」


「此処って神秘なところだわ。」

とみどり。


「旦那様....。緑だけしかない。」

とクラリス。


「此処なら思いっきり暴れられる。」

と明日香。


「ねえ。さっきバハムートの言ってた内容を知っていたの?」

明菜は正樹に尋ねるのであった。


「ああ。此処はゲームでは「勇者の試練」と言う場所だ。此処に多くのプレイヤーが「勇者」の試験を受けて全員失敗していたのを憶えていたからな? リリさん。本当の職って「精霊使い」でしょう?」


「はい....。私は「精霊使い」です。」


「多分だけど、バハムートの方が正解だと思う。だってこの聖域って古のエルフ族が作った結界だから。リリさんが亜人勇者に渡したネックレスは中に入れる鍵になっているはずだよ? リリさんはエルフ自体が鍵になっているから入れると思う。」


「そうなのですね....。でも正直「聖女」じゃなくて良かった....。」


リリが安堵をしていると明菜はある方向に指を指したのであった。


「ねえ。あそこにいるのは亜人勇者じゃない?」


リリはその方向にみると

「はい。亜人勇者セシル=レオ=ワーグナーです。」


其処には獅子族で銀色の鎧を纏った亜人勇者セシル=レオ=ワーグナーが立っていたのであった。



~作者より~

読者の皆さん読んでいただきありがとうございます。

20日付けでの「ミッドナイトノベル」様のランキングで日間&週間&月間ランキング2位となっています。

皆様のフォローと評価をお願いします。

私もそれを見ながら色々と面白い内容にしようと思っていますので

是非ともよろしくお願いします!


この回から嫁達の装備が変わります

*その姿は読者様のご想像して読んで下さいね。

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