第64話 商業都市ベルシア③

正樹達は領主宅に入った後、明菜が正樹に言うのであった。


「正樹。私達はリリさんの護衛に向うわ。」


「分かった。俺はシルベールさんの所に行くよ。」


「ならば、私も同行しよう。」

ハインツは正樹と一緒にシルベールの部屋に行くのであった。

部屋にはシルベールの他にハインツの護衛騎士数名が警護していた。

シルベールは大声でハインツに怒鳴った。


「おい。此処から出せ! リリ様のお守りは私だけで十分だ。」


「そうはいきませんよ。シルベールさん。確かめたい事があるので。」


正樹はシルベールの傍に行って上着を切り裂くと...そこには赤い宝石が埋め込まれているのであった。


「どういう事ですか? シルベールさん。やはり「赤い風」の一人ですね。」


「知らん!」

シルベールが怒鳴り散らすとハインツがすぐさまに質問するのであった。


「シルベール殿。その胸に埋め込められている赤い宝石は「赤い風」の証だと聞いています。もう......いい加減に白状して下さいよ?」


「.....」

シルベールが黙っていると....リリの部屋から爆音が響いた。


「あはははは!」

シルベールは大声で笑うと


「失礼します。領主様。今何者かがリリ様の部屋に乱入しました。」


「リリ様は私達が連れて帰ります。マサキさん。嫁さん達は残念な事になりましたね。私の言う通りにしないからだ。あはははは!」


シルベールの笑い声が部屋に響き渡るのであった。


△△△△△


正樹とハインツがシルベールに尋問している時、リリの部屋の前には5人のフードを被った人達が立っているのであった。


「此処だな。リリアンヌがいるのは?」


「その様です。副隊長。しかも護衛は女性4人だと聞いています。」


「我ら「赤い風」の足元に及ばないと思うわ。行くぞ!」


「「「「了解!」」」」

副隊長らしき者が指示を出して全員部屋に突入したのだが


「誰もいないのじゃないか!」


一人が声を上げた。


「隠し通路があるかも知れん。くまなく探せ!」

フードの人物達は分かれて部屋の中を調べると二人の女性が立っていたのであった。


「「赤い風」の方ですね。私は明菜。隣に居るのが」


「明日香。リリさんは此処にはいないわよ?」


副隊長らしきの人物が


「一人だけ抑えとけ! もう一人は殺してもかまわん。」


「それって。こっちのセリフだよ? 貴方達は罠にはまったのよ。貴方達の下には何があるのでしょうね?」


「赤い風」全員は床をみると...魔法陣が浮かび上がって魔法陣から魔法が炸裂するのであった。


バアアアアアアアン!


明菜の上級爆裂魔法が「赤い風」メンバー全員に命中したのであった。

その魔法で半分が両足が吹き飛んで無くなっていた。

しかし、残りの二人は片足が吹き飛ばされて剣で支えようとした時、明日香が残りの二人に斬り込んで

殺したのであった。


「貴方達は立ち上げれないから。大人しくしてね。」


「「「もはやこれまでか.....。」」」


「明菜さん。こいつら......全員自爆するよ」


「結界魔法!」

明菜は咄嗟に明菜と明日香に結界魔法をかけた。


大きな爆音が部屋に響くと....残っていたのは


「ふう.....。危機一髪だったわ....助かったわ。明日香さん。」


「もう..焦るのでないですか....。周りに行き残っている人は?」


「全員。死んだわ。あの赤い宝石って爆薬が入っているの?」


「分からないわ。それより正樹の所に行きましょう。」


「そうね.....急ぎましょう。」

二人は正樹達の部屋に向ったのであった。


△△△△△


正樹達がいる部屋ではシルベールとの話をしていたのであった。

「今頃、リリ様を連れていると思う。お前達も此処で死んでくれ。」


シルベールが言った途端。扉が開いた。


「あのう....他の「赤い風」の方々は全員自爆しましたよ? シルベールさん。」

明菜と明日香が入って来たのを見てシルベールは


「なんだと!」


シルベールが驚いた隙に正樹がシルベールに斬り込む。

シルベールの赤い宝石が粉々になったのであった....しかもシルベールの両手も切断して。


「いたあああああああい!」


「一応血を止めないとね。ヒール。」

明菜が回復魔法で切断した手の傷をふさいだ。


「これでよしっと。」


「ありがとうな。明菜。リリさんは大丈夫か?」


「それなら大丈夫だよ。転移で「白猫亭」に送ったから。クラリスとみどりさんが一緒にいるわ。」


「.....と言う事ですぞ? シルベール殿...ではないなお主は一体何者だ?」

ハインツはシルベールに問いただすと正樹が答えた。


「このシルベールさんは偽物ですね。多分こいつが『赤い風』の隊長だと思うぞ。たぶん.....本物のシルベールさんは既に死んでいると考えられる。」


「そこまでバレていたのか....。僕..いや俺は『赤い風』隊長のジルバだ。シルベールは3年前にリリを連れ出した後に直ぐに殺して俺がシルベールとして一緒にいたのだ。」


「お前の目的は....エルフの「聖女」であるリリさんを捕らえる為だな?」


「「「!」」」

正樹の言葉でその場にいた正樹以外の全員が驚愕する。


「ほほう。其処まで知っていたのか?」


「まあね。その「聖女」を捕まえてどうするつもりだったのだ?」


「ロクサーヌ=ユグドラシル副議長への脅迫材料だ。「聖女」を人質にして、『聖女』を助けて欲しければ、亜人派と戦えってね。まあ亜人派は元々やる気満々だったがな。エルフ派はそれを避けようと色々と策を練っていた見たいだったけ?」


「それで今失敗したからな。」


「そうはどうかな? まあ。俺の役目は此処までだからな?」


「お前の親玉だ一体誰だ?」


「.....言わん...。」

これが偽シルベール事、シルバの最後の言葉であった。

シルバは歯に仕込んだ毒薬を使って自殺したのであった。


こうして激動の一日が終わったのであった。


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