第63話 商業都市ベルシア②

ハインツから獣国レオバード連邦の情報を聞き出している正樹達。


「先ずは獣国の情報だが、どうやらお互いに『秘密兵器』を出そうとしている見たいだな?」


「秘密兵器?」


「亜人派からだが、議長直属の特殊部隊が既にこちら側に来ているみたいだ。恐らくエルフ派に取って重要な人物を捕まえると考えられる。」


(なるほどな....あのガビルが狙っているのがリリさんだとすればリリさんが一番重要な人物だと考えてよさそうだ。)


「エルフ派は副議長直属の調査部隊をこちらに派遣したそうだ。名前は確か....『赤い風』だったかな?」

ハインツが『赤い風』を言うとシルベールの顔は涼しい顔になり,

リリの顔は怯えて体を震えていたのであった。

そこでシルベールが声を出す。


「『赤い風』ですか。此れは私達には朗報だ。リリ様、安心して下さい。『赤い風』の隊長は私の友人でございますのでこれならマサキさんの護衛は必要としません。」


「.....。」

黙り込むリリ。


「マサキさんの護衛は此処までで結構です。お疲れ様でした。」


(俺はゲームで『赤い風』の噂を聞いた事がある...確か構成はダークエルフだったよな?)

正樹は思い出そうとしていた。

『赤い風』の本当の狙いを....。


(そう言えば2年前の限定クエ「エルフ族の反乱」ってあったよな? 確か首謀者は....そうだ『赤い風』の隊長のジルバって言うダークエルフだ。『赤い風』は確か胸に赤い宝石を埋め込めていたはずだ....。そして、『赤い風』はエルフ派の調査部隊であったが本当は魔王国の所属の部隊だったはずだ。リリさんはそれを知っていて黙っていたんだなあ....シルベールさんの行動はおかしい。シルベールさんは男なのに何故か俺と一緒に風呂に入らなかった。一人で入りたいのはわかるのだが。何か隠していると思えないなあ。リチャードとは良く一緒に入るのだけど...あのおっさん小さいからなあ....。)


俺は考えているとハインツがなんと『念話』で話をするのであった。


『マサキ殿。』


『その声はハインツ様?「念話」なんて出来るのですか?』


『いかにもハインツだ。ああ、領主なのでね。色々とあるのだよ? それよりも、あのシルベールって男どこかで見たことがあるのだが?』


『何処でお見掛けしました?』


『ちょっと待てよ....そうだ思い出した。あいつ....『赤い風』の一員だ。1か月前此処でフードの人物と話をしていたのを私は見た事がある。シルベールも顔を隠していたが、チラリっと顔が見えていたので、すぐ分かった。』


『なんですって!』

正樹は驚いたがすぐに理解をしたのであった。


『やっぱり。そう言う事か。』


『どうしました?』


『今ギルドの外に何者かが待ち伏せていますね。相手は隠蔽している見たいが、俺には通用しない。明菜。みどり。明日香。クラリス。分かるか?』


『正樹。分かる外に5人いるわ。しかも黒いエルフが5人だと思う。』


『旦那様。どうする?』


『此処で襲撃されるとギルドに被害が出る。』

正樹はそう悩むとハインツが提案をするのであった。


『マサキ殿。宿を代えましょう。私の屋敷に変更しよう。屋敷なら周りは結界魔法で囲まれているから。リリ殿のみ、マサキ殿の奥様達で護衛してもらって欲しいのですか?』


『正樹。それが一番良いわ。』

明菜がハインツの提案に賛成して他の嫁も賛成をした。

ハインツがシルベールに話をするのであった。


「シルベール殿。」


「はい。何でしょう?」


「先ほど、亜人派の方に襲撃されたと聞きますが?」


「それは、其処のマサキさんが処理をしていただきました。」


「ならば。先ほどの「白猫亭」の案内を中止して私の屋敷に泊ったらどうかな?」


「それはお断りします。」


「理由は?」


「もうすぐ「赤い風」のメンバーと合流して獣国に向います。」


「どのように獣国に行くのですか?」


「船をお借りしたい。」


「それは...無理ですな。」


「どうしてですか? ハインツ子爵。」


「今戒厳令を出していましてね。貴方達が来る前にそこにいる姪のクラリスから報告を受けていまして、此処にリリさんとシルベールさんを襲撃する人物が潜んでいる可能性が高いのでそれが無くなれば船を出せると思います。」


「それは多分...「赤い風」が倒してくれているはずだ。」


(どうするつもりなのかな? ハインツ様は。)


「致し方ありませんね...。領主ハインツ=ガーネットから部屋の外にいる近衛騎士団に命令だ。このエルフの男女を保護して私の屋敷に連行せよ!」


ハインツはそう言うと部屋に騎士団が入りシルベールさんとリリさんを保護するのであった。

シルベールはハインツに吠えた。


「何の権限があるのだ!」


「貴方達の身元を確認したいので連行するのです。」


「どうしてだ?」


「貴方は此処で亜人派とエルフ派との戦場にしようとしているからだ! 連行しろ!」


「「はは!」」

シルベールとリリは騎士団に捕まり領主宅に連行されていくのであった。

シルベールは激しい怒りを出していたがリリの顔は安堵していたのであった。


「冒険者マサキ達よ! そこのエルフの女性の護衛はマサキ達の女性陣で行ってもらう。男性の方はマサキ自身で護衛していただく。此れはギルド支店長ハインツからの指名依頼である!」


「はい。引き受けました。ギルド支店長。」


(本当に狸親父だな....。)


「そう言えば、私の方も『秘密兵器』があるのだよ。」


「どういう『秘密兵器』ですか?」


「屋敷に来てもらえれば分かります。」

ハインツは笑いながら正樹に言うのであった。

その後、正樹達はギルドから出て領主宅に向うのであった。




~作者より~

お待たせしました。

やっと最新話まで修正が無事に終わりました。

本日から最新話まで1日4話~5話連続掲載を致します。

5月26日までには最新話に追い付くと思います。

お楽しみ下さい。

尚、第6章はシリアスな展開となりますのでご了承下さい。

もしも面白いと思った方は☆を★にしていただくと嬉しいです

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