第62話 商業都市ベルシア①
山小屋での襲撃があった2日後、
正樹達は港町ベルシアに到着した。
ベルシアはロマリア王国の第二の商業都市で人口は約10万人。
此処の領主は宰相ギリム=ガーネット侯爵の弟でハインツ=ガーネット子爵である。
ベルシアはクラリスの故郷でもあるのであった。
「懐かしいなあ。此処に来るのはもう10年以上も来ていない。」
「そうなの? クラリス。」
「そうだ。みどり。私は10歳まで此処にいたんだ。父上が領主だった時に、その後父上が宰相になって王都に移転したので叔父上のハインツ様に領主を譲ったのだよ。ハインツ叔父上は堅実派で借金奴隷に落ちた住民の保護をして男は外壁工事に女は裁縫とかで雇っていて、給金の1割を借金返済に充てているからここでの経済は順調に回っていると聞いている。」
ベルシアは商業都市で各国から来る商人の中継地としている為、街全体は潤沢に経済が回っているのであった。商売に失敗した人や冒険者をしていたが体を壊して借金をした人は、借金奴隷となって主に外壁工事や近くの農村に出稼ぎをしている。女性は主に裁縫や料理店の店員などで働いている。
此処ではスラムと言われる地区が無いのが特徴である。
さすがガーネット家であった。
「クラリス。此処の街の内容は分かるのか?」
「この街は、王都に次いで大きい街なので今は外壁の増築が最優先になっている。此処は東西南北に区画していて中央の噴水公園を中心に東は工業地区で南は商業地区。西は宿泊施設と各ギルドの支店がある地区で、北は領主他住民地区に区分けしているのだ。」
クラリスが街の説明をした後、正樹が提案をして来た。
「それじゃあ。先に冒険者ギルドに行って情報を聞いてから宿の確保をするか。」
「そうね。それで良いかと思う。リリさん。それでいい?」
「はい。その方が良いかと思います。」
「なら。西地区の冒険者ギルドに行こう。クラリス案内を頼む。」
「はい。旦那様。後で褒美を下さい.....。」
クラリスは照れながら正樹に褒美をお願いするのであった。
すると明日香とみどりがクラリスに声をかけるのである。
「クラリス。今日の夜は貸し切りで良いわよ?」
「そそ。昨日は私だったし。一昨日はみどりだったからね。」
「....ありがとう。」
(今日の相手はクラリスか...こいつって悲鳴少ないので助かる...。)
正樹は夜の事を考えながらギルドに向うのであった。
冒険者ギルドベルシア支店は三階建ての建物で一階は酒場となっていて二階が受付業務で三階がギルド職員の寮とギルド支店長の部屋となっている。
正樹達は二階に上がって受付嬢に声をかけるのであった。
『いらっしゃい。冒険者ギルド、ベルシア支店受付のメアリーと言います。どう言ったご用件でしょうか?』
「俺はシルバーレイク支店所属の冒険者マサキと言います。此れがギルドカードです。」
「確認しますね...。はい。マサキ様。ありがとうございます。」
「ギルド支店長に会いたいのだが、これがシルバーレイクの支店長のリチャードの紹介状です。」
「はい。少しお待ちになって下さいね。支店長を呼んできます...。」
メアリーは一旦席を外して直ぐに戻って来た。
「マサキ様。三階の支店長室にどうぞ。ご案内致します。」
メアリーの案内で支店長室に来て。
「パパああああ! マサキ様が来ました。」
「入ってくれ。っておいメアリー! 此処ではパパと言うな! 支店長と言いなさい。」
「はあい。パパ。」
「お前なあ....。」
正樹達は支店長室に入るのであった。
支店長室にはナイスミドルの男性と隣には眼鏡をかけた知的女性が立っていたのであった。
「そうこそ。ベルシアへ..って其処にいるのはクラリスじゃないのか?大きくなったなあ。」
「お久しぶりです。叔父上と伯母上。」
「「「「叔父上と伯母上???」」」」
クラリスの発現で全員が驚いている。
「マサキ=ラファエル伯爵で良いのかな? 初めまして私は此処ベルシア支店の支店長でもあり、此処の領主でもあるハインツ=ガーネットと申す。隣にいるが妻のフローラだ。」
「マサキ様。ハインツの妻のフローラと言います。」
「おい。フローラ。可憐な話をしても後でバレるから普通に話せ。」
「...それでは普通に....。マサキさん。よろしくにゃあ。」
「「「「にゃあ?」」」」
「すまんのう。妻は語尾に猫語をつけるのだ。見ればわかるはずだ。」
全員、フローラの姿を見ると
「ハインツ様...奥方はもしや....。」
「そうだ。獣国のレオバードから亜人派の猫族の族長の娘であってね。猫族は情報調査がメインでね。各国の情報を此処で入手して女王に報告しているのだよ。」
「そうでしたか。」
「マサキ殿は獣国の今の状況を教えて欲しいのだな?」
「はい。それと宿の確保がですね。二人部屋が2つ。三人部屋が1つあればいいのですけど。後侵入者対策が出来ている宿が希望です。」
「フローラ。お勧めの宿って知っているか?」
「え~と。此処から少し離れた所にある『白猫亭』って宿がありますにゃあ。女将に連絡をして確保するように指示をしますのにゃあ。」
「ありがとうございます。」
(にゃあ....とは。)
正樹はフローラにお礼を言ってハインツに今の獣国の情勢を聞くのであった。
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