第60話 襲撃者③

獣国レオバード連邦....この国は亜人族のトップであるヘイグ=ワーグナーとエルフ族のトップであるロクサーヌ=ユグドラシルが各地の国に対抗する為に20年前に統合して作った国である。

内政は主に亜人族の代表者5名とエルフ族の5名による元老院での会議で決められている。

4年後とにトップの入れ替わりを行い今は最高責任者はヘイグ=ワーグナー議長で次にロクサーヌ=ユグドラシル副議長であった。

何故亜人とエルフが争いになったかと言うと、今年はヘイグの任期が終わる年でロクサーヌが次の議長になるはずだったが、此処に来てヘイグは無理やりそのまま議長を続けると宣言した為、ロクサーヌのエルフ派が異議を申し上げ、亜人族とエルフ族の対立になってしまったのである。

そこでヘイグは3年前に首都から出て行ったロクサーヌの娘である『聖女』を捕らえようとして特殊部隊「漆黒の虎」を使って『聖女』の居場所を探していたのであった。

特殊暗殺部隊「漆黒の虎」は亜人派のヘイグが作った秘密部隊であった。

主に、要人の暗殺や他国への潜入して他国の情報を入手。それをトップであるヘイグが協議して、対処する部隊でもあったのだ。


『行くぞ。小僧!』


ガビルは正樹に突っ込んで行くのであった。

ガビルの戦闘スタイルは格闘技主体で素手での戦いであった為、小手と脛当てには鋭い刃が仕込んでいて蹴り一発で首が吹き飛んでしまう威力があったのだった。

ガビルは拳と蹴りで正樹に攻撃をしていくが正樹は剣でそれを防いで行くのであった。


『中々やりよる。』


「そっちこそ。一発一発が即死亡するからな。注意しているだけだ。」


亜人族は基本、魔法は使えないが自身にある魔力で身体強化と魔法防御化を使っていて肉弾戦に特化した種族であったのだ。

しかし、たまに魔法が使える亜人もいる為、亜人族全員が何らかの魔法を使う事が出来るのであった。


正樹の一瞬の隙を見てガビルが拳から魔弾を放つ。

それを正樹は剣で魔弾を防いだが、ガビルが正樹の真正面に来て、ガビルの足蹴りをモロに食らってしまった。

普通ならその足蹴りで身体が真っ二つになるのだが...正樹は物理防御魔法でそれを防いだかに見えたのだが....完全には防ぐ事が出来なくて鎧が割れてしまい...腹から血が出て来たのであった。


『おいおい。防御魔法か...お前も中々やるもんだ。』


「それはどうもありがとう。」


『俺の攻撃に耐えるのか?』


「耐えると言うより、今から俺の反撃開始だ!」


正樹は空間魔法でもう一本剣を取り出して二刀流にする。

そして剣に魔力を込めて行くのであった。


「行くぞ! おっさん!」


『来い! 小僧!』


次は正樹がガビルに突っ込んで行くのであった。

正樹の二本の剣が交差してガビルに襲い掛かる。

ガビルはそれを小手と脛当てで受け止めて行く....。

その攻防がしばらく続き....。ついに、ガビルの小手と脛当てに仕込んだ刃の先がボロボロになってしまったのであった。

だが、正樹も方も二本の剣の先もボロボロになって...ついには、両方の剣は折れてしまったのである。


『俺の仕込み刃が使い物にならないとはな...お前の方も剣が折れているみたいだな。』


「そっちこそ。」


お互い少しの間が空くのであった。


「ガビルさんよ。あんた、何であの2人を捕まえるのだ?」


『我が主の命令だ。エルフの男は要らないのだが、女の方が重要なのでね。』


「もっと聞きたいのだが。」


『それには俺に勝てた場合だ。』


「なら勝たせてもらうか。」

正樹は折れた二本の剣を捨ててボクシングスタイルの態勢で構えた。


『お前バカか? 亜人族でしかも格闘専門の虎族の俺に対して格闘で戦うなど。』


「こっちはあんたが言う格闘ではないのだがな...。」


『そうか。俺もこの小手と膝当てを捨てよう。拳で語り始めようぜ!』


「分かった。」


(俺の方は拳ではないのけどね......。まあ良いか。)

ガビルは壊れた小手と脛当てを外した後、すぐにガビルは正樹の懐に入って拳で正樹の腹に向って放つのであった。

それを正樹はかわしたが、すぐにガビルの足蹴りが入って来る。

それをかわした正樹。

ガビルは蹴りと拳が交互に正樹に向って放って行くのであった。

正樹はそれを腕で受け止めて直ぐさま拳でガビルの顔に殴りかかる...が、

ガビルはまともに顔に受けたがそれを気にならないぐらいに正樹の腰に足蹴りをして...正樹は後ろに飛ばされて倒れたのであった。

正樹はよろめきまがら立ち上がって


「こりゃあ..。肋骨が折れたな...。」


『その程度で良く防いだな...これもお前の防御魔法で防いだみたいだな? まあ。お前の方はもう息が上がっている見たいだがのう。』


「はあはあ....。まだまだ....此処からだ。」


『そろそろ終わりにするとするか...死ね!』


ガビルは起き上がって来た正樹の首に足蹴りを出したのであった。

その足蹴りで正樹の首の骨が折れると確信した時.....正樹は足蹴りをかわして後ろに回った。

ガビルの腰に両手で囲い...その状態からジャンプするのであった。

正樹のジャンプは1メートルほどジャンプして直ぐに後ろにのけぞった。

....日本でやっている格闘技の必殺技である...あの技を出すのであった....。

それは....『プロレス』の『バックドロップ』!


ガビルの頭が地面に突き刺さった!

地面にはガビルの顔が地面にめり込んでピクピクしている....。

そいてガビルは動かなくなってしまったのあった。


「キツかった...まさかここでプロレスの格ゲーをする事になるとは思わなかった...。」

正樹はゲームオタクである。

様々な種類のVRゲームをしていて、格闘関係のゲームも含んでいたのであった。

それをする為に身体を鍛えていたのである..ある意味バカなオタクであった。


ガビルの反応が無くなってついにそのままの状態でガビルは窒息して死んでしまったのであった。

正樹はガビルを地面から引き離して身体を地面に置いた。


「あんたの敗因は俺が剣しか使えないと思った事だ。」

そう言って正樹は地面に座り込んでいたのであった。

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