第57話 ベルシア出発一週間前②

女神エレナは俺にこの世界を救って欲しいと言われその理由を聞くと破滅の神と他の世界の神々が行ったゲームが原因だと言った内容を説明して行くのであった。


『この世界は人族と亜人族、エルフ族などのさまざまな種族が仲良く暮らしている世界であったの。勿論、悪の象徴でもある魔族ともね。ある時、1人の神が平和な世界を破滅にしたらその後どうなるのかを提案して来たの。その提案したのが破滅の神と言われる神ロキだったの。』


ロキは平和な世界を破滅するゲームを提案、暇な神達はその提案に許可をしたのであった。


『そして、そのゲームになる場所が、私が作った世界『ロマリア』だったの。ロキはある異世界にある『ゲーム』が私の作った世界にとても良く似ているのを利用して私の世界にある者達を送り込んだのよ。それが貴方達が言っていた『邪神』と呼ばれる存在です。その邪神の数は4つ。一つは邪神ギリオン。邪女神エステリーゼ。邪神ギリガメッシュ。最後の邪神は...私にもわからないの。その邪神達が送られたのが約500年前、つまり『ロマリア』で伝説となる『魔大戦』なのよ。』


「それからどうした?」


『邪神ギリオンと邪女神エステリーゼは魔物を率いてこの世界の破壊を邪神ギルガメッシュは魔族と人族を焚きつけて戦争を起こしたの。しかも異世界から人間を召喚してその召喚者を配下に加える事に更に混迷を作ろうとしたわ。それを知った私は、その召喚者を間一髪、私の元に呼び出してその内容を聞きて私を助ける約束でこの世界に送ったの。だけど....召喚者を送った私を見つけたロキは私をこの世界の中心に閉じ込められたの。その後、その召喚者はギリオン夫婦を封印して、最後にはギルガメッシュと相打ちになってしまい、結果何とかこの世界は助かりましが、世界の傷跡は酷かったので、ロキはその後、この世界を放置してしました。』


「それで、今度はどうなったのか?」


『ロキは放置していた『ロマリア』を見て面白くなかったみたいで残りの一人の邪神にある人物を召喚させたのです。それが今の武装国家ガイアスの現国王シンタロウ=カツラギとその仲間達です。ロキは『地球』のゲームを作った開発者自身をこの世界に送り込んだのです。シンタロウ=カツラギ達はリアルゲームだと面白がっていて喜んでその邪神の依頼を受けたのです。』


「それで、俺とクラスメイト達がこの世界に召喚された理由は何なのだ?」


『それは、邪神ギリオンを復活させる為なのです。シンタロウが居た世界で『勇者』の素質がある人間を別の邪神が見つけ出して、ナイトハイム王国に潜んでいた邪女神エステリーゼに異世界召喚をしてその人間をこちらに呼びだしたのです。『勇者』の素質の人物をギリオンの依り代にする為に。その人物が貴方なのです。しかし、邪女神エステリーゼの召喚魔法は、ピンポントで召喚する人物を召喚出来ないので、貴方の周りにいる人達までここに召喚したのでした。私はその事を召喚の儀式の前に分かり、エステリーゼの魔力を感じた私は、今ある魔力を使って貴方に「ある魔法」を放ったのです。そして、召喚された中に「勇者」はいたのです。それが剣崎和哉だったのです。それは偶然にそうなったのですけどね。』


「それで俺は『勇者』から『無』になったのだな?」


『はい。そうですよ、』


「それで俺に放った魔法とは? どう言う物だったのだ?」


『それは...貴方が聖属性と闇属性の両方持っているからでした。剣崎和哉の方は光属性だったので、あの水晶では「勇者」になったのでしょう。貴方の場合は召喚後にすぐ属性を打ち消す神魔法「クリア」を使いました。その影響で職が『無』になったと思われます。その後、私はあなたにユニークスキル『無限の可能性』を与えました。それで職『無限』が出来たのですけど、貴方の『無限』は発展途上中なのです。』


「俺の『無限』が発展途上中だと? どう言う事だ?」


『貴方のユニークスキル『無限の可能性』は善にもなるし悪にもなる可能性があったのです。悪になったらこの世界は終わります。善になると邪神に対抗できるのです。そして貴方は善の方を選び、邪神ギリオンを倒しました。だから、貴方ならこの世界を救って下さると思ったのです。それが、私の声が聴こえて此処に来られたのが理由です。』


「.....。」


『私に出来る事があれば何でもいって欲しいです。例えば...貴方の嫁となった三人の召喚者が『地球』に帰還する事が出来るとか...。』


女神エレナは俺に衝撃な話をしたので俺が食いついた。


「それは..本当に出来るのか?」


『はい。出来ますが...ただ一つだけ問題があります。』


「その問題とは?」


『貴方が使う帰還スキルは『無限の可能性』スキルを犠牲にして初めて出来る事で、貴方自身がこの世界と『地球』での貴方の存在する記憶が無くなるのです...つまり貴方自身が無に帰るのです..。そして今いる貴方と一緒にいる召喚者達はこの世界での記憶も消えます。』


「それは俺が死ぬって事か?」


『ある意味正解ですが...正解ではありません....。私に出来る事は貴方の無に帰った後、貴方を別の人物に転生する事が可能なのです...今までの記憶を残して....それが一番貴方に取っては過酷な事にあると言うのに.....。』


「なら。教えて欲しい。帰還スキルを発動するのはどうしたらいいのか教えてくれないか?」


『貴方...分かっているのですか? 一回死んで別の人物になるの...。』


「分かっているよ。明菜、明日香、みどりには『地球』に戻って幸せになって欲しいからな。此れが俺の一番の希望だからさ..。別の人物に代わっても俺の記憶は残っているのだろう? それで充分だ。理由はその記憶がロキと言う神を倒すカギとなるのなら猶更だ。」


『わかりました...。其処まで言うのなら教えます。先ずは事前準備が必要です。あの道具が作れば、後は貴方のタイミングで発動して下さい。私からは以上です。』


「ありがとう。女神エレナ。後もう一つ聞きたい」


『どうぞ。』


「クラリスはどうなる?」


『この世界の住人で貴方の妻クラリスさんには私の加護を与えます。貴方が別の人物になっても私の加護を持つ人物なら、貴方を見つけ出す事は可能だと思います。』


「そうか。ありがとう。」

俺は女神エレナに感謝するのであった。


(後は道具を作るだけだな....。材料は俺が持っている物で出来そうだ....。)

俺は明日香と明菜とみどりを『地球』に戻れる方法を見つけて安堵したのであった。

その3日後、俺は王都を出て港街ベルシアに向うのであった。

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