第56話 ベルシア出発一週間前①

ビクトリア女王の謁見が終わってから1週間後の今日の朝、俺達は港町ベルシアに向って出発した。

王都からベルシアまでは馬で約一週間かかるのだが、


「これってすごいのですけど?」

リリは呆れた顔で俺に聞くのであった。


「これね...馬車型装甲車なんだよ。」


明日香が更に俺を睨みつけて話をしていく


「正樹..あんた...本当にオタクだわ。」


「いやあ。それ程ではないけどね。」


「「「「バカ!」」」」


今俺達が乗っているのは馬車型の装甲車。

外見は馬車であるが、中身は魔法装甲を施した馬車で、馬も生きている馬ではなく自動人形の馬であるのだ。自動人形の馬も外見は普通の馬に見えているのだ。

何故馬車型にしたのかは、俺達の魔導装甲車がはっきり言って他から見れば目立つと言う事で、俺が魔道装甲車を使うと言うと嫁達が気分が損なうと言って馬車型にしたのだ。

それでもこの馬車型装甲車で使うと約2日に港街ベルシアに着くので気にもしていなかった。

....本当は魔導装甲車なら3時間で着くのだけどね.....。

俺は心の中で呟きながら馬を操縦していくのであった。

すると明菜が俺にこれからの計画について尋ねるのであった。

「正樹。今日はどの辺りで一泊するの?」


「王都から港町まで確か途中に中継場所ってあったかな? クラリスは知らない?」


「そうだな。思い出した。ベルシア行く途中にバッカー山を登らなければならない。その山頂に確か冒険者が良く使っているキャンプ場があったはずだ。」


「そうか。そこで一泊して明日にはベルシアに着きそうだな。」


「そう言う事になる。旦那様。」


「このペースだと夕方には山頂に着きそうだ。」

俺達はペースを少し落として馬を引くのであった。


△△△△△

*正樹視点*


....俺は、出発前の一週間の出来事を思い出していた.....

俺達は出発の日を一週間後にしたのには訳があった。

一つは食糧の確保と武器などの装備の確保、約1か月分。これは獣国と武装国家に行くために必要な物で、これはみどりと明日香が担当してもらった。

二つ目は獣国の情報収集、これは明菜とクラリスが担当してもらった。

そして、俺は、ある場所に来ていたのだ。

其処は...旧ナイトハイム城跡である。

俺はいつの間にか転移魔法が使える様になっていて、嫁達には内緒で此処に来たのであった。

理由は、明菜を抱いた後、変な女性の声が俺の頭に入って来て、此処に来るように言われたからだ。

重要な話があると言って...。

俺はクーデターになった城跡に立って見渡すと頭の中に女性の声が聴こえるのであった。


『良く来ました。松風正樹さん』


『それで、君は何処にいるのか?』


『貴方のいる場所の地面を触ってくれる?』


俺は女性の声に従って地面を触ると魔法陣が出て来て俺は驚いた。。


『これは?』


『この魔法陣に乗って下さる?』


『分かった。』

俺は魔法陣の上に立つと魔法陣から光が出て俺を包む...そして俺は消えてしまった。

光が消えると俺は周りを見渡した、其処は神殿のような作りになっていて、奥には一人の女性が座っているのであった。

俺はその女性の所に歩いて行いく。

立っていた女性は歳は20代前半で身体はナイスバディ....金色の長い髪で眼も金色をしていたのであった。

俺はその女性に話をするのであった。


『此処はどこだ? それと貴方は俺の頭の中に入ってきた人?』


『此処は神界と言われる所で神封印の中なのよ。私の名前は『エレナ』と言います。この世界『ロマリア』を作った創造神です。』


『その神が俺に何の用なのだ?』


『単刀直入に言ってこの世界『ロマリア』を救って欲しいの。』


『俺は邪女神エステリーゼに召喚されて、しかも、 クラスメイトの一人が勇者だからって事で巻き込まれてここに来たのだが?』


『正確には、貴方だけは私が呼びました。あいつの魔の手から逃れる為にね。』


俺は女神エレナの答えに驚く。


『貴方の御両親が500年前に此処に召喚されたのは聞いたのでしょう?』


『ああ。俺が両親が無くったのは10年前だが、何で500年前の世界に転移されたのか分からない。』


『それは私から説明するわ。』


『そもそも貴方の両親は『聖属性』があって、神の一人が此処に召喚しようとしたのよ。自分の配下にする為にね。その神は貴方の両親を殺して魂だけ此処に召喚して邪神として転生させて、この世界『ロマリア』を支配しようと考えた。それを知った私は、あの事故の後直ぐに私の所に転移させて、500年前の世界に転送したのよ。その神の企てを阻止するのにね。そのおかげで私は此処から出られなくなったの。』


『今ある元凶はその神が原因なのか?』


『そうよ。その神.....破滅の神のお遊びの為に。』


『もっと詳しく教えてくれないか?』


『分かりました。話は長くなるかと思いますけど。』

女神エレナはそう言って話をするのであった。

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