第27話 思惑

勇者達がギリオン神殿に行く2日前にさかのぼる。

ナイトハイム王国内の会議室内でアレン=ナイトハイム15世とロベルト王子、そしてセシリア第一王女と宰相のボーゲン伯爵が話し合っていたのである。


「つい今しがたロマリアにいる『影』での報告によると『王家の墓』の計画は失敗したみたいだ。」

ボーゲン伯爵は難しいそうな顔をして言った。


「まあよいわ。あの作戦は魔王国からの依頼だから成功したら御の字だからのう。本題は神殿攻略だ。」

アレンはロマリア王国での「王家の墓」の作戦報告が終わって、次に重要な案件を言うのであった。

「父上。勇者に言った内容は本当なのですか? 」


「ああ? あれは嘘だ。あそこには聖剣はない。」


「お父様。本当の事を教えて下さい。」


「なあに。本当はギリオン復活したらギリオンを我の玩具にする為だ。」


ボーゲン侯爵は国王の後に続けて

「この世界には5大魔神が封印又は既に復活している。武装国家には既に魔神が1体いてその配下が今の国王として君臨しているそして、魔王国には魔神が2体いる情報を掴んでいる。そこでギリオンを復活させて我の玩具にすれば、武装国家も手出しはしないと思うのだ。帝国は今だ王家継承の件で動いていない。武装国家も魔王国の属国であるので我が国に攻め込む事はない。しかも、我が国は魔王国と裏で同盟を組んでいる。ギリオンをロマリア侵攻に使えばこの東大陸は我々の物になるのである。」


「勇者に言っていた聖剣は本当はどういう物ですか?」

ロベルト王子は国王に確認をした。


「ギリオンを封印している剣は『封印の剣』で勇者が抜けば効果が切れてギリオンの本体は粉々になるのじゃあ。其処で勇者を生贄にしてギリオンを復活させる。そこでボーゲンあれを見せなさい。」

アレンはボーゲン侯爵にあるものをテーブルの上に置いた...それは黒いネックレスだった。


「これは500年前にギリオンを封印されたと言われる「ある人物」が書いたと言われている日記の内容を研究した結果、魔王国の「ある方」から作ったネックレスを勇者に渡したのだ。そのネックレスには従魔の魔法陣を施している。魔神は死んだら魂を別の人間に憑りつくようだ。だから取りついた人間を奴隷みたいに出来ると研究結果でわかったのだ。しかもこのネックレスは一回装備すると外れないようにしている。さっき勇者達に着けてもらっている。」


「お父様。それを着けたギリオンを使ってロマリア侵攻ですわね?」


「まあ。そういう事になるかな。」

全員が談笑していると、ロベルト王子が気になる事を言い出した。


「確か勇者達が出発の時、聖女ともう一人はネックレスを身に着けていなかったぞ?」


「なんだと!...。まあいいわ。元々勇者本人が本命でもしもの場合に他のメンバーにつけさせたのだからな?。それでは解散としようか。」

アレン国王はそう言って会議の解散をしたのであった。


....後2日で魔神ギリオンは我が玩具になるのだがな...あははははは。


---------------------------


同時刻、第三王女シルビア王女はある人物と話をしていた。


「それでロマリア王国の方はどうなりましたか?」


『破滅王ガブリエルが死にました。』


「あらら。そうなの?」


『間違いございません。後、勇者達は先ほど出立しました後2日後に神殿に到着する予定です。』


「ご苦労様です。ベルモンテ。」

ベルモンテはシルビアに尋ねる。

『ご主人様がいよいよ復活となりますね。エステリーゼ様。』


「今はシルビアよ。」


『そうでございました。しかし、あの勇者召喚に使った魔道具は何処からいただいたのですか?』


「ああ。あれねお父様が裏で魔王国のダルタロスからもらったのよ。」


『魔王ダルタロス様ですか? あの方は確か禁忌魔法を研究されていましたですね?』

ベルモンテはエステリーゼに魔道具の内容を聞くのであった。


「そうよ。召喚魔法を使うと邪神10人分の魔力量がいるって聞いたわ。」


『それであの召喚魔道具ですね?』


「そうよ。魔王ダルタロスが約500年かけて作った物だからね。」


『ギリオン様が復活されたらどうしますか?』


「そうね。この王都が焼け野原になって、残った都市と支配下にしてロマリア王国を占領とするかしら?」


『そうなると魔王国にいる大魔王にはどうされるのですか?』


「そうよねえ。あいつには借りがあるからここの3分の1をあげちゃおうかな? まあその時はそのときね。じゃあ。ベルモンテ。引き続きロマリアの状況を教えて下さいね。」


『分かりました。エステリーゼ..いや。シルビア王女様。』

ベルモンテは影となって消えていくのであった。


1人残ったシルビア王女....邪女神エステリーゼは

(旦那様の事だから...この大陸全体が焦土になるかと思うわ...。)


心で思うのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る