第22話 王家の墓⑥
正樹達は『王家の墓』の第九層に到着した。
九層の入ると目の前には一体のスケルトンジェネラルが立っていたのであった。
だがそのスケルトンジェネラルは第八層に出た物とはまるで違っていたのであった。
先ず第八層のスケルトンジェネラルの身体の色は灰色だったが立っているスケルトンジェネラルの身体の銀色に光っているのであった。
そのスケルトンジェネラルの武器と防具装備はこの世界で貴重なミスリル製であったのを正樹達は銀色のスケルトンジェネラルを見て
「下にいたスケルトンジェネラルと違う見たいだな?」
「そうね。あの骨銀色だわ。下の相手は灰色ぽいかったけど。でも、見た限りは私達より弱いよ。」
お互いにそう言い合うとスケルトンジェネラルが声を出す。
『ほほう。お主らの方が我より強いだと? 我が名はエリオット=ガーネットだ。』
エリオット=ガーネット...元ロマリア国内で知るものもいない最強の『剣聖』である。
エリオットは銀色の闘気を発動したのであったが、正樹達はそれを気にせずに
「俺は正樹だ。」
「その妻、明菜。」
『我の闘気を出してもびくともしないとは。中々やるのう。』
「それはどうも。それより、クラリス嬢は何処にいる?」
正樹はエリオットにクラリスの居場所を聞くのであった。
『最上階だよ。まあお主らは此処で死ぬわけだからな。では参る!』
エリオットは正樹に斬り込んできたのだった.....だが!
正樹は目を閉じて相手が目の前に来る途端、正樹の眼が開いて剣技を放つ。
それと同時にエリオットも剣技をマサキに放つ。
『剣技ーガーネット流「一刀両断」』
「剣技『卍斬り』」
双方の剣技が出た後、二人はそのまま時間が止まったように立っていた。
するとエリオットの身体が砕けて行くのであった。
『見事だ...マサキよ...。お主との戦いは楽しかったぞ....。最上層にいる彼奴には気を付けろ...。最後に我が子孫の事をよろしく頼む.....。』
エリオットは正樹に最後の言葉を出して...消えて行ったのだった。
正もはその場で膝をついた。正樹の身体は紙一重でかわしていたが、装備していた鎧が真っ二つになっていて斬られたところから血が飛び出していたのであった。
それを見た明菜が急いで正樹の所に飛んで来て
「あなた...。大丈夫? 今傷を治すね....『ハイ・ヒール』!」
すると正樹の身体の傷は無くなっていた。
「サンキュ、正樹。ちょっとやばかったけどな。さすが『剣聖』エリオット=ガーネットだ。」
「もう..。」
「後は最上層だけだが、此処で最上層のボスについて説明するよ。」
「うん。」
正樹はゲームでの知識でボスの正体の話をする。
「最終ボスの名前は...ロマリア王国初代国王ガブリエル=ロマリアだ。恐らくあいつは1年前に殺したリックって帝国の冒険者を語った魔族を使って、依り代である殺された国王とクラリスさんの血液を使って融合して本来の姿に戻るつもりだ。ゲームではラスボスは悪霊ガブリエルだが、此処では実体になるはずだ。その前にクラリスさんを助けてガブリエルを倒すぞ!」
「うん。絶対勝とうね。あなた。」
「もちろんだ。勝った後はいつものあれをやるからな。」
「もう...この変態亭主め。」
お互いにバカを言いながら最上層へ向かって行くのだった。
最上層に着いた二人は、墓の前に立っている二人の人物とその前に倒れている一人の女性、クラリス=ガーネットがいたのだった。
クラリスは気絶している状態で、立っている二人は...冒険者のリックと思われる男とゾンビ状態の死んだローレンス=ロマリア国王であった。
正樹はそれを見て話を切り出す。
「おい。冒険者リック...いや魔族よ?何でこんな事をするのだ?」
「ほほう..。このリックが魔族だと良くわかったな。我が名は『ある方』の配下ゲイルである。もう遅いわ。新月になったぞ。此処で大人しく良く見てろ。」
魔族ゲイルは声を上げて言うのであった。
「此処に留まっているガブリエル=ロマリアよ。我の身体をくれてやる!」
魔族ゲイルは自分の手刀で自分の首元を斬ったのである。
「これで...俺が死んで...ガブリエルの魂が俺の死んだ身体に乗り移るのだ...。」
ゲイルはそう言って息を絶えた...そして、光る玉がゲイルの死体に入って行くのであった。
『この身体...我の本当の姿になる為に使わさせてもらぞ?』
ゲイルに乗り移ったガブリエルは気絶しているクラリスの首筋にナイフで切り、クラリスの首筋から血が噴き出した。噴出した血をゾンビ状態のローレンスの顔に当てた後、
『これで準備が出来た...この女はもういらないな。お主達に返してやるわ。』
ガブリエルは正樹達の向って気絶しているクラリスを投げ込んだ。
正樹はクラリスを受け取って明菜に回復魔法を使う指示をした。
「これは..危ないわ..『パーフェクト・ヒール』!」
明菜の最上級回復魔法でクラリスの首筋の傷が無くなっていく。
「よかった。これで一応大丈夫だけど。」
明菜は安心な顔をして正樹に言った。
すると血だらけになったゾンビのローレンスの手を握ったガブリエルは、
『さて最後の仕上げとするか、『融合』!』
ゾンビ状態ローレンスの身体が黒い煙となってガブリエルの方も白い煙となった。
黒い煙と白い煙が混ざって灰色の煙になって、だんだんと灰色の煙が人型になっていく...。
最後には20代後半の髪と目が灰色のイケメン男性の姿になっていた。
「我は初代国王の『殺戮王ガブリエル=ロマリア』である。」
とガブリエルはそう言うと背中から灰色の翼が出て来たのであった。
その姿は灰色の天使のように見えるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます