三日目。
目が覚めて、ベッドから足を一歩踏み出す……と、同時に、一昨日と同じ、だが、今回はより鮮明な感触を覚えた。
あからさまな粉の感触、ぱらぱらと剥がれ落ちる羽に、中身がつぶれて出てくる、色なんて想像もしたくない液体。
また蛾の死体だ。昨日あの後、クソババアのヤツわざわざ拾って人のベットの足元に仕掛けておいたのかよ。ご丁寧なことだ。
しかも、気持ち悪いことに、踏んでしまったせいか足の裏全体に蛾の死体が広がっていた。
「こいつ、こんなにデカかったか……?」
まあ、そんなことはどうでもいい。足の裏にべったりとついた蛾の死体をシャワーで洗い流し、ついでに朝シャンとする。
朝シャンを浴びて気が付いたが、あのババア、今日は飯の一つも作らずに出ていきやがったのか。
「……あ?」
風呂から上がり、テーブルの上に紙切れが置いてあるのに気が付く。
「食べ物に感謝できない人に上げるご飯はありません。少しは反省しなさい。
P.S.たんすの奥のお金はひとまず会社の方に持って行くことにしました。」
「クソッタレ!!」
メモを投げ捨てる。飯の一つも作れなくなったかあのババア。
仕方がないから朝飯と昼飯はカップ麺でも食べるか。
納戸をあさるが、カップ麺の一つも買っていやしない。
「つっかえねえ。」
プラスチックの加護の一つを蹴っ飛ばし、キッチンに戻って炊飯器にかろうじて残っていた米を食う。
白飯をおかずなしで食えとか、何を考えているんだあのババアは。
そのとき、俺はいいことを思いついた。
「ただいま……あれっ?」
クソババアが仕事から帰ってきたと同時に、慌てるような声が聞こえる。
ドアにチェーンをかけてやったのだ。
「帰ってくんなクソババア!飯の一つも用意できないグズに用はねぇ!」
ざまあみろ。少しは外で頭冷やして反省して、俺に忠誠でも誓えばいいさ。
「……そう。じゃあ、母さんはしばらく実家に帰るからね。助けが必要になったら呼ぶんだよ。」
そんなふざけたことを言って、ババアは部屋の前から気配を消した。
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