二日目。
朝起きて、制服に着替え……なくていいんだ。もう。あのうざい服に縛られずに済むと思うとなんとせいせいすることか。
あのババアはもう仕事に行ったようだ。おかげで今日は着替えがどうのと文句を言われずにパソコンを開いてゲームができる。
昼頃、腹が減った。ババアもあれで料理は作れる。だが、それにしても冷めきった飯ってのはクソ不味いんだよな。
サランラップにくるんで居間のテーブルに置いてある料理を取りに行く。
「……は?」
最初に出たのはその一言だ。昨日、洗濯機のすぐ横の溝に捨てたはずの蛾がご丁寧にサランラップの上に置いてあったのだ。しかも、形を整えて。
「あのババア……。」
あいつの仕業だ。それしかない。捨てられたことを根に持って、わざわざ人の飯の上に置きやがったに違いない。
「こんなもん食えるわけねーだろ。」
サランラップの上には蛾の鱗粉が落ちているのが見える。
我が家の金は、たんすの奥、ババアの下着の下にしまってある。これで隠してるつもりなのか。
「さあー、諭吉ちゃん、俺と一緒にお出かけしましょうねー。」
確か、駅前の少しいい店がそろそろ開く時間だったはずだ。あとは……そうだな。あそこの風俗がセールでもやっていたし、ちょっと寄っていくか。
「よかったよー、アイちゅわーん。」
家に帰ってきて、風俗の名刺にキスをし、高いテンションのまま、シャワーを浴び、自室に直行する。
しばらくして、いつの間にか帰ってきていたらしいババアが部屋に来た。ったく、今度はなんだよ。
「ぁんだよ。」
「あんた、お昼ごはん食べなかったの?」
「るっせえ。大体、人の食うもんの上に虫の死体なんて置くんじゃねえよ。」
「そんなもの置くわけないでしょう、食べ物に失礼だもの。変な薬とかやっていないでしょうね?」
ババアはいっちょ前に俺の心配をして帰っていった。クスリなんてそんなもんどこで手に入れるんだよ、バカじゃねえの。
あほ臭いことを抜かすババアに部屋まで飯を持ってこさせ、今度こそ蛾が入っていないことを確認して飯を食い、皿だけ部屋の外に出すと、またゲームをしてから寝た。
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