第17話

役40数年後の私は、ある時携帯電話を  無くした。彼がいた警察署近くのコンビニのレジ近くに、何かを買った時に置き忘れたのだ。                  最初は歩いていて落としたのかと思ったのだか、落としたのは一応あの警察署の近くだと思ったので、ダメ元でき聞きに行った。  朝早くに、確かまだ7時位の時間に行った。犬の散歩をしている時に寄ったからだ。  外に繋ぐ所も見当たらなかったので、大人しいから、その中型犬も連れて中へ入り、受付へ行った。               注意をされるかもとは思ったが、朝早くて まだ一階には警察官が殆どいなかったし、 大丈夫だった。             その当時、私は永住していたアメリカ本土、その後アメリカ領のグアムから引き上げて 日本に戻っていた。そして、とある理由からこの警察署の近くに住んでいた。    元々生まれ育った場所もやはりこの警察署から近かったが、そこよりももう少し近かった。                  携帯電話を無くした事を伝えると、私に応対した人間から少し離れた机にいた老人も、親切に加勢して、私に教えた。       (結局届け出を出して、後日電話があり、近くのコンビニの店員が届け出てくれたので見つかった。)               その加勢して親切にしてくれたお爺さんに、何か見覚えがあった。どこかで見た様な…?だがその時は分からなかった。      だがその老人は、最初はとてもにこやかに 感じよく接していたのに、途中からは不快な、意地悪い表情になり、私を睨みつけたのだ。                  それから、彼の周りに三人いた、他の爺さん連中の警察官に私の事を小声で話し始めたのだ。チラチラと時たまこちらを見ながら。 私は紛失したのを記入する用紙を持って来る警官を待っていたので、この四人の連中の態度を見ていたが、多少聞こえた。     だがその時には分からなかった。だが、あれはあの時、うちに来た刑事のおじさんだったのだ!!                何故分からなかったのか?それには理由があった。そして何故あんな風に怒っていたのか?それにも彼なりの理由があった。   先ず、分からなかったのは、あの刑事さんは余りにも変貌していたのだ!       昔は、小太りだったがそれ位の体型だった。だがこの時は、凄く太っていたのだ。   それに、髪型も昔は黒くて、普通に横分けだったと思う。横の髪が少し長いのを耳にかけて、もしかしたらオールバックだったかもだ?だが、普通によくある髪型だった。  だがこの時は髪型もうんと短くて、坊主頭に少し髪が生えて来た様な感じだった。そして、もう完全に白髪だった。       だからあの時とは丸で違ったし、服装もあの頃は茶色いスーツだった。だがこの時は、 グレーのワイシャツに、同じ様なグレーの ズボンだった。             他の爺さん達も皆、白髪頭で、同じ様なグレーのワイシャツを着ていた。皆、定年になってからもまだ働いているのだろう。    そして何故あんなに恐い顔をして私を見たのか?                  実は彼をその数日後に、私が犬の散歩時に 警察署付近ですれ違った時にも、又物凄い 顔をしながら私の顔をいつまでも睨み付けた。                  だから、「この間はどうもありがとうございました。」、と言おうとしたが、余りの凄さに言う気がしなくなり、止めた。      その数日後ににも又すれ違うと、又私を見ながら、最後には馬鹿にした様な顔をしてすれ違った。                その後も何度か又会ったが、今度は丸で知らない様に、見て見ぬふりをして通った。  私が若い時には、リナちゃん、リナちゃんと言ってうちに訪ねて来たり、私の学校の近くで、放課後に私を何度か待伏せしていて、話した人だ。私をかなり気に入っていた人だった。                  だが彼の私への豹変した態度は、以前に私が書いた、この警察署にいた小松菜(仮名)の事でだ。                詳しい事は、「Y−警察署の助平な御仁達」に書いてある。それについて、この刑事のおじさんは怒っていたのだ。        私は彼が他の三人の、仲間の爺さん達に話している事が耳に入った。小松菜の件と、あの私の、遊園地デートの相手だったあの巡査に付いても話していた!          それでもまだ私は分からなかった。(この時にはまだ彼に会っていない。まだもう少し後だ。だから、彼やおじさんの事はまだ思い出していなかった。)            今はもう刑事ではない、このおじさんが何を話していたのかは、少し長くなるかもしれないから、次回に話そう。 

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