第16話

電話をかけると20代後半から30代前半位かもしれない?、の男の警察官が出た。私は緊張しながら、彼に変わってくれる様に頼んだ。                  すると、彼はそこにはいないと言われた。私は又繰り返した。すると、彼は移動になり、もうそこにはいないと言われた。     私は、移動先を聞いた。だが、教えられないと言われた。私はしつこく粘った。相手は何度も、彼は移動になり、移動先は教えられないと言った。              それでも私は食い下がった。もうこれが最後の手段だと思ったからだ。        するとその警官が言った。        「ねー、あなた、高木リナさん(仮名)で しょう?!」              ドキン!!私は焦った。黙っていると又繰り返した。                「ねー、あなた、高木リナさんでしょう? ねー、そうでしょう?」         私は答えた。              「違います。」             「違うって、そうでしょう?!」     私が困って黙っていると、彼は又言った。「じゃああなた、名前は何て言うの?言ってみて。」               「…。」                「ねー、名前はなんて言うの?」     「…宮本です。」             急いで考えて、適当な名前が出て来た。  「宮本?!」             「はい。」               「宮本何なの?下の名前は何て言うの?」 「ハルミです。」            「ハルミ?!」             「はい。」               「あなた、宮本ハルミさんっていうの?」 「はい。」               「嘘でしょう?!あなた、高木リナさんでしょう?」               「…。」                「ねー、そうでしょう?」        「違います。」             「違わなくないでしょう?!あなた、それ嘘ついてるでしょう?」          「ついてません!」           「ついてるでしょう?!」        この警官は、私の名前を自分が言った時から怒り口調だった。そして私との押し問答で、直ぐにイライラしてきたのだ。      「あなた、高木リナさんでしょう?ねー、 違うの?そうでしょう?」        私が黙っていると、畳みかけた。     「ねー、そうなんでしょう?!」     私がここではいと答えたか、黙っていたかは一寸忘れてしまったのが、次にこの彼はこんな風に言った。             「あなた、高校生でしょう?!」    「…。」                「ねー、あなた、高校生でしょう?なら、他にやる事があるでしょう?」       私が黙っていると聞いた。        「あなた、○○に何の用があるの?」   「話があるから。」          「話?何の話があるの?!」       「言いません。」          「何?!何で言えないの?」       「関係ないから。」           「関係なくないでしょう?こうしてあなたが電話をしてきて、話してるんだから。」  「出ただけだから。」           電話に出たから話しているだけだ。話の内容に関してはこの警官には関係ない。    只、私が高校生だし、彼はこの間の件で飛ばされたのだ。多分高校生の私とデートをしたのと(実際にはしていないのだが)、原っぱの件がメインだろう。それは、後から分かった。                  彼はそんな風には言わなかったからだ。だから、私は只偶然、転勤になったのかと思っていた。                 この警官は、もっと怒り始めた。     「ねー高木さん、あなた、高校生でしょう?なら、他にする事があるでしょう?こんな所に電話なんかしてこないで、もっと他にする事があるでしょう?これ以上電話をかけてきたら、あなた、家の人に言うからね。」「…。」                「良い?分かった?!」         ガチャン。私は電話を切った。      高圧的で、やたらと高校生だからと繰り返していた。高校生なのだから、他にする事があるからと。               だから思った。高校生なら他にする事とは、勉強の事だろう。又は部活だ。もしくはアルバイトだ。               だが、恋愛も勿論して良いし、只相手が警察官だったからいけないというだけだ。   実際、もし私と彼が遊園地デートの日にもめなければ、誰にも分からなかったし、迷惑もかけなかった。ましてや母が同意していり、黙認していたら余計にだ。        そして、私と彼はそれ以降ずっと会わなかった。あの刑事のおじさんともだ。     だが私はその何十年後に、偶然にも別々に 各自に会った。それで分かったのだ。彼が飛ばされた事を。       

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