第15話

大丈夫かなぁ、明日は?私は明日の土曜日の天気を案じた。             そして当日の土曜日だ。         ザーッ!!朝から物凄い雨だ。まさかこんな事になるなんて…。だけど、だから嫌な予感がしたんだなぁ。あの時、何故一言聞かなかったんだろう?雨がもし降ったらどうするの?って。                だけど、もしかしたら?!だってこの間は車で来たんだもの。なら、幾らこんな天気だ からって、もしかしたら来るんじゃないかな?!                 私は淡い希望を胸に、思い切って遊園地へと出掛けた。               いつもとは違い、幾ら週末でも遊園地の前はガラガラで、というよりも人一人いなかった。遊園地はこの天気でやっていなかったから。だから、何とも寂しい光景だった。  そこにいるのは、傘をさした私だけだった。そして、寒い。季節は秋だ。だがその日は割と寒くて、私は少し震えていた。     だが、来るかもしれない。そう思って待った。だが現れない。           寒いなぁ、何で来ないんだろう?やっぱり雨だから駄目なのかなぁ。だけど今日を外したらもう会えなくなるかもしれないのに?! 車だってあるんなら、遊園地へ入れなくても喫茶店にでも行けば良いんだから。そうしたら温かいし、ゆっくりできるんだから。  そんな事を考えながら時計をたまに見ながら、待っていた。            そうして1時間待った。来るなら、もういい加減来てもいい筈だ。          じゃあ、やっぱり来ないんだ?!流石にこんな雨だし、やっぱり普通なら来ないのかな?もしかしたら私も来ないと思ったのかも?!そんな事を色々と考えていた。      どうしよう、もう帰ろうかな?でももし遅れて来たらどうしよう。いや、やっぱり来ないよ、こんな雨だし。           自分の中で気持が格闘する。そして、私はついに帰る決心をした。惨めだし、雨は凄いし、幾ら上着を着ていても普段よりも寒いし…。                 そうして、私は家へ帰った。       週末が開けてから、私はもしかしたら又家の前に来ていないかと期待した。だが彼は現れなかった。               私は思い切って警察署ヘ電話した。近所の、ボックスの公衆電話からだ。家からはかけられない、祖母が母へ言いつけるといけないし、母がいればもう発狂するからだ。   母は私が男女交際をするのを極端に嫌がっていた。高校が非常に校則の厳しくて、うるさい学校だったし、又、単なる興味本位で近付いて来る男なら大変だとか、ああだこうだの理由からだった。            母は、短期で直ぐに興奮して怒る割にはとても気が小さくて、心配性だったから尚更だったのだろう。              とにかく、学校から帰ると外に出て、公衆電話から警察署ヘ、ドキドキしながら電話をかけた。警察へなんて電話をするなんて勿論初めてだった…。 

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