第8話

原っぱに車を停めると、彼は降りた。そして私の座っている側へ来ると、ドアを開けた。そして私を見下ろす。私も彼の顔を見る。 「降りて。」               私はそのまま座っていた。降りたくなかった。ここに置いて帰るのは分かっていた。 「降りて。」               彼はイライラしながら又言った。顔は相変わらず非常に険しい。           私は悩みながらも拒んだ。そのまま座って いたら、もしかしたら気持が変わってくれないかな?そんな風に考えていたと思う。  だが彼は変わらなかった。彼は凄くプライドが高い男だったのだろう。頭が良いし、自分に自信があったのだろう。        だから、会っていきなり服装の事で文句を つけられて非常に頭に来たのだ。もしかしたら、まだ高校生の私にそんな事を言われたのもあったのかもしれない。        だが私は何度も謝ったし、一度停まってから又走り出した時にも謝ったし、許してくれないから途中からは車中で泣いてしまった。 彼は私が泣き出すと、嫌な顔をしたが又  元のきつい、険しい顔に戻って車を走らせた。                  助手席に私がまだそのまま座っていると、 彼にはムラムラとさらなる怒りが沸き   起こった。               「オイ、早く降りろ!!」        物凄い怒声をあげた。          私は恐ろしくて急いで車から出た。 

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