第7話

車はどんどんと遊園地から離れて行く!! もう絶望的だ。             私は遊園地に行きたかったし、彼にもあんな事を言ったのを悪いと思っていた。この時には、本当に反省していた。        せっかく出て来たのに!!彼も私と会おうとして、遊ぼうとして出て来た。なのに、無神経にもあんな言葉を投げかけた?!    だから私は謝った。車中で何度も謝った。 「ごめんね?!ごめんなさい、変な事を言って!許してくれる?!」、       「ごめんなさい、酷い事言って!でもその上着、そんなに変じゃないよ?只地味なだけ。だから、本当にごめんなさい。」     彼は返事をしないで無視している。何度謝っても同じだ。完全に無視して、返事をしない。                  そして彼はそのまま、黙って運転し続けた。同じ表情で…。             そして途中で車を停めた。私は彼の顔を  見る。彼も私の顔をジッと見る。     するといきなり私の座席にあるレバーを下げた。椅子の背が倒れる。私は驚いたが、バタンと身体が椅子の背と共に倒れた。    と同時に彼がいきなり私の身体に乗っかって来た!!私は驚愕しながら抵抗した。止めてと何度も言いながら。          だが彼は興奮しながら私の身体を撫でまくりながら、頬や首筋に唇を付ける。そうしてキスをしながら、ついには私のシャツのボタンを外そうとしたり、カラージーンズの中に手を突っ込もうとした。          私は泣きながら必死で抵抗しながら、止める様に大声で懇願した。          すると彼はやっと私の顔を見た。そして私が本気で恐がり、嫌がっているのが分かると、やっと止めた。             そして又自分の席に戻り、私の椅子のレバーで元の位置に戻すと、又無言で運転をし始めた。                  私はそんな事があっても元は私が悪いと思ったから又少しすると謝った。上着を変だと言った事を。だけどこの遊園地デートを物凄く楽しみにしていたし、完璧な物にしたかったからだと説明した。何故なら私には生まれて初めてのデートだからだと。       彼は返事をせずに黙って聞きながら運転を していたが、私が初めてのデートだと言うと、最初は自分との初めてのデートだと思った様だった。              だが私が何度もこうして繰り返す中で、生まれて初めてのデートだと言った事で、それを聞くとドキッとした様に、顔と身体が反応した。彼は非常に驚いていた。       正直、私は当時はまだうんと若いし、顔の目鼻立ちがハッキリしていたから、着せ替え人形みたいな顔をしていた。        だが、日本語が話せない、分からない様な顔をしている為に、よく顔や姿は他人に褒められたりもしたが、正直中学生や高校生の時に同年輩から丸でモテなかった。高校が女子校なのと、徒歩圏内にあったのも多少は関係したかもしれないが、とにかくそうだった。 当時の日本では、(今も多少そうかも?しれないが)、基本的には欧米人に見えるだとか間違われる顔だと相手にされなかった。  ハッキリとアジア人の血が入っている、混じっていると誰が見ても分かる様な混血顔でないと駄目だった。            私の場合、鼻は高いがそこまで彫りは深くない。だが瞳の色が日本で言うヘーゼルだとか欧米で言うグリーンなので、その時点で、本当に平面的な顔でない為に、外国人と間違われた。                 そうすると目立つから、特に十代の男子、 まだ子供なんて恥ずかしいから嫌がる。  だが私自身も付き合うなら同じハーフの少年が良かったし、そうすれば私の苦悩も大なり小なり分かる。又、見た目も自分の様に目がパッチリ、鼻も高い、そうした顔が好みだった。                  だがこの巡査は違った。目はパッチリ二重ではないし、鼻も高くなかった。だが二重だし、鼻も低くなかった。         背も高いほうだし、なんと言っても私が男性には外したくない特徴があった!!    それは、顔の形だ。私が丸顔だとかの、顔の縦の長さが短い顔なので、顔が面長の男性を好んだ。そのほうが私からすると男らしさを感じた。                だから私にめちゃくちゃ優しかったし、面長で、本も好きだし詳しいこの彼は、私には最高だった!!本当に気に入ったのだ。   だが幾ら生まれて初めてのデートで、自分がその相手だったのが分かっても、彼は頑なに口を閉じて、絶対に言葉を発しなかった。 そうしてついに車は停まった。何なの?何でこんな所に停まったの?!        そこは広い原っぱだった。そしてそこは、彼の勤務する警察署のすぐ近くだ。(現在ではマンションの棟が沢山建っている所だ。)

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