第4話

刑事さんは、巡査が私を説得しながら片方の手を両手でしっかりと握ったり、私が署名した後に私の髪を何度か優しく撫でたりしているのを驚きながら、物凄い形相で睨みつけていた。                 自分が、私が署名した箇所を見て確認していた時に、巡査が自分に見えない様に、分からない様に又私の手を握ったので私も握り返した事には気付かなかったみたいだ!    刑事さんは私を署の外に連れ出すと、後から私達を追って来た違う若い巡査と、しばらく話し始めた。私にしばらく待っていてくれる様にと頼んで。             この巡査は、刑事さんが私を会議室に通す前に、私を食堂へ連れて行き、ラーメンを食べさせたのだが、自分も食事をし終わると私達の側に来て中々離れなかった男だ。(その時のハプニングは面倒だから又ここには記さないが、My Scum Relatives、略してMSRに記してある。)               警察署に着くと、刑事さんは私がお腹が空いているかもしれないと思い、先に食堂へ連れて行ったのだ。             実は、母がヒロシを仕方無く許すといけないから、早く外へ連れ出して、警察にヒロシを署に連れて行ってもらおうと思い、苦肉の策で私は母にラーメンを食べに行こうと誘ったのだ。                 刑事さんも直ぐに私の思惑が分かり協力したので、その時にはもう少しだったのだが、 ヒロシやその両親に必死に泣きつかれたので、母は土壇場で訴えをひるがえしたのだ!!だから私が署に来る事になった…。 それで外でこの食堂にい若いた巡査に追いつかれて、刑事さんは私について色々と聞かれたので彼に話していた。どちらも私に興味を持ち、気に入ってくれていた。      しばらくすると刑事さんは戻って来た。  彼は私が貸してもらった赤いハンカチを返す様に言った。拒んだがしつこいから、仕方無く渡した。               彼は私がハンカチを返す為に又警察署に来て、あの巡査と接触されるのを嫌がり、私に無理矢理にハンカチを返させたのだ。   そしてその渡している時に、あの巡査がその現場を署から出て来て見てしまった!!  私は何故渡したのかを急いで叫んだ。巡査は驚いて刑事さんを睨みつけると、足早に署の中に去っていった。           それからは、一寸端折るが、この刑事さんは名刺を出した。その前には私に、自分を好きか嫌いかと聞いた。困りながらどちらでもないと返事をすると、どちらかならどっちだと追求したので、それなら好きだと言った。 そして、頬にキスをしてほしいと頼まれたので、人に見られるから困ると言う理由で断った。だがしつこいから、急いで軽く頬に唇を着けた。                今ならセクハラだろうが、昭和の時代は良くも悪くも今とは色々と違うし、ルーズだとかいい加減、又は逆に変に厳しかったりした時代なのだから!!            それから私の行きたい所にも連れて行ってくれるから何処が良いかを何度も聞いたので、遊園地だと答えた。巡査とはもう駄目だと思っていたし、遊園地デートが駄目でも、まだ若い私は遊園地が大好きだった。だから、行きたい場所なら絶対にそうだった。    刑事さんは連れて行ってくれると言い、色々な物に乗ろうと言うので私も興奮した。  そして自分の名刺を出して、友達になりたいから受け取る様にと言った。       名刺を受け取るかは凄く悩んだが、只の知人や友人だとしても彼の妻に悪いと思い、内心は受け取りたかったが、優しく接してくれた事に感謝して礼を言うと、急いでその場から走り去った。そうでないと、本当に受け取ってしまうからだ!!           家に帰るとヒロシ達一家はまだいて、心配だから帰らなかったと、ヒロシの母親に言われた。                  母も私に何が起きたのかを詰問した。   私は話した。皆が蒼然となり、ヒロシの両親は私の母に警察に電話をかけて、娘がした事を取り消す様にと詰め寄り、母は家来の様に従った。普段は仲が良い姉と仲違いするのを恐れたのだ。              結果は、母が大騒ぎをして抗議して、私が家に着くと泣きわめきながら、無理矢理に署名をさせられたと自分に泣きつき、何とかしてほしいと頼んでいる等と散々嘘をついた。 それで電話に出た婦警も余りのしつこさに、仕方無く取り消してしまった!!     もしあれが男の警官なら、又はもしもっと利口な警官ならばもっと冷静に対処して、一旦は保留にしてあの刑事さんに話したのではないだろうか?!幾ら母がそんな事を言ってもだ。                  結果簡単に、私が署名した物を本人の意思に反して取り下げてしまったのだから!!  こうして私の署名した書類が取り下げられたのが分かると、三人は悪びれずに堂々と帰って行き、母も内心はあの多数の蝶額を取り 返したかったのだが、身内との義理を取った。だから、がっかりしながら畳に座って いた。私も、落胆した。         帰り際にヒロシは、母に借りを作ったからこれらは何かあれば助けるだとか味方になると、恩着せがましく言った。そして一つも反省していないし、恥ずかしいとも思っていなかった。                伯父は私を怒り、責めて、殴りかかりそうな勢いだったから、幾ら大馬鹿な母も流石にそれに気付き、伯父をを叱り飛ばした。それで伯父も渋々黙った。           帰り際にヒロシは一旦玄関を出てから、トイレに行くふりをして又戻ると私に近づき、小声で得意そうに悪態をついた。      「お前なんかの思い通りにはならないんだからな!!」               だから私も平然と言い返した。      「もう泥棒しないでねー?!」      ヒロシはカッとして振り返りながら、私を 凄く恐ろしい形相で睨みつけた。そして出て行った。                私はあの時直ぐに家に帰らずに、どこかで数時間時間を潰してから帰れば良かったのだ。だがいきなり、手ぶらで出たからお金も無かった。                 それなら近所の公園にでもいて、しばらくはそこで座っていたら良かったのだ。それに、刑事さんの名刺も貰っていたら良かったのだ。                  そしてヒロシ達が帰った後直ぐに、家を出て、公衆電話から彼にかけたら良かったと思う。いなくても伝言を頼んで。      そうしたらまだ当日だし、もしかしたら何とかならなかっただろうか?!       結局その後日、直ぐに巡査も刑事さんもうちに来る。別々にだ。

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