第181話


「へへー、俺の勝ちぃー」

「ちっ」

「怖」

「冗談だ。そろそろ時間だし片付けるぞ」


 そろそろ燕翔寺家の皆さんが用意してくれる夕飯の時間だ。


「手伝うぜ」

「助かる」


 番号順に並べ、綺麗に元の通りに箱に収める。


「で、結局どうなんだ?相棒」

「どうって、何が」

「烏川さんだよ」

「またそれか………」


 頭を掻きむしる。


「(ああ、認めよう)」


 僕は少なからず彼女に対して好意を抱いていると。


 身を挺して守ってくれる姿に、時折見せる年頃の少女らしい姿に、多少なりとも特別な感情を抱いていると。


 しかし元々彼女は僕の護衛として派遣されただけであって、僕に対して特別な感情を抱いて接し、助けてくれている訳ではない。


 あの時々見せる悪戯っぽい笑顔は、よく分からないが。


「まあ、変なことはするなよ。これ以上は烏川迷惑をかけたくない」

「へいへい。俺的にはお似合いだと思うけどなぁ」


 ナハハと笑いながら僕の肩をバシバシと叩く。


「ま、あと2日もあんだ。気楽に行こうぜ」

「余計なお世話だ。先に行くぞ」

「ちょ、置いていくなって」





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





 最初に訪れた居間に戻ると召使いの方に案内され、食堂に。そこには既に、僕たち2人と烏川を除く全員が揃っていた。


「あ、来た来た」

「お待ちしておりましたよ、桐堂様、安良川様」

「悪りぃ悪りぃ」

「すまんな」

「いえいえ、席にどうぞ」


 燕翔寺に案内され、それぞれ用意されていた席に座る。


「これまた豪華な夕食だな……」


 今は落ち着いているとはいえ、フォリンクリとの戦争中だとは思えないご馳走だ。


「魚は本日獲れたばかりの新鮮なものを使っておりますので、美味しいですよ」

「獲れたてか……」


 それは楽しみだ。烏川の手作り弁当期間が終わってからは普段通りの人工肉だった。こういう本物オリジナルは味わえる時に味わねば。


「では、頂くとしようか」


 家主の翼さんの声と共に皆んなそれぞれ手を合わせる。


「「「頂きます」」」




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