第151話


「どうしたリッパー。剣を抜かないのか」

「チッ……」


 奴の斬撃をクナイで防ぐが、武器とパワーで押される。燕翔寺以上のスピード、スタミナ切れの様子もない。


「(コイツら……偽物じゃない)」


 グランドクロスの人工フォリンクリじゃない。本物のフォリンクリだ。


 サーベルを蹴り飛ばしながら足払い。


 そして一度距離を取るが、すぐに新しいサーベルが出現し、距離を詰められる。


「(やはり小夜時雨以外による物理攻撃は通用しないか)」


「ワタシをムシしちゃダメデスネー」


 真後ろから飛来する鎖をクナイで払い除ける。


「(こいつも鬱陶しい……!)」


 ただでさえ剣士の方で面倒なのに、鎖が邪魔をしてくる。


 そして、今回の鎖は一本ではなかった。


「ッ」


 弾かれた鎖まで二つに分かれ、円を描く様に腕にまとわりつく。そして


 ゴリリッ


 妙な振動を感じる。右腕が動かない。どうやらへし折られたらしい。


 ドスッ


 怯んだ隙に今度は左足。目に見えない何かが脹脛を貫く。


「(まだ生き残りの雑魚がいたか……)」


 私としたことが詰めが甘かった。


「腰が入って無いな」


 そのまま剣士の男に押し切られ、吹き飛ばされる。


 廊下の壁に激突する。そして、無事な手足と首にも鎖が纏わりつく。


「チッ……」


 骨を折られた程度、すぐに再生できる。どうって事ないが、あまり損傷が激しいと流石に間に合わなくなる。


「流石な貴様でもそんなオモチャでは俺には勝てないだろう?」

「3対1で随分と偉そうね」

「…………」


 ドッ


「ゲホッ……あら、気に障ったかしら?それはそれはごめんなさいね」

「チッ。おい、そこのお前。コイツを見張っていろ。我々の計画において一番の障害だ。抜かるなよ」

「ハッ」


 そう言って背を向ける男。


「案外大したコトナカッタデスネー」

「油断はするな。何か隠しているかもしれん」

「リョーカイ」


 そう言って女は指を鳴らす。


 ゴリッ、ボリッ、パキッ


「(………結局四肢は全部折られちゃったわね)」


 右足という支えが無くなり、鎖でぶら下がる様に吊るされる。


 そんな私を見下ろす時計は13時25分を示す。


「(…………そろそろかしら)」


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