第150話


 一度呼吸を整えながら振り返る。追っ手はまだ居ない。


「(烏川……)」


 あの場で全員を押さえ込んでいるのだろう。だが


「(本当に大丈夫だろうか……)」


 烏川の実力は僕がよく知っている。でも、今回はなんだか嫌な予感がする。


「桐堂様っ、早くこちらへ!」

「っ、ああ」


 燕翔寺の声を聞き、再び体育館まで走る。


 プシューッ


 僕が入ったところで閉ざされる重厚な扉。その時、何かが通り抜けたような風が。


「(今だれか僕の横を通り過ぎて行ったような……)」





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





「ふんっ」

「ごっ……」


 肋を踏み砕き、そのままコアを破壊する。


「次は貴女達よ」


 雑魚の相手はウンザリだ。


「さあ、どっちからかかってくるのかしら?」


 目の前の2体の人型にクナイを向ける。


「オー、やっぱりザコはヤクニタチマセンネ」

「俺達の考えに賛同してくれた同士達だぞ。そう言ってやるな」

「ザコはザコデス」


 女はそう言って笑うとこちらへ手を突き出す。


「アナタはソウジャナイとシンジテマース」

「っ……」


 またあの鎖だ。袖の奥から真っ直ぐにこちらへ射出される。


 クナイで弾くと、同時に男の方が距離を詰める。


「剣には俺も少し自信があってな。同じ剣士として手合わせ願おうか、リッパー」

「……上等」


 白銀と漆黒の刃が激突した。




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