第125話
再びワイワイガヤガヤと騒がしくなったクラスメイト達。そしてそれを落ち着かせようと傘草先生が前に出た、その時だった。
バゴォッ
「「!?」」
粉砕音と共に天井から何かが降り立つ。
「傘草ッ!」
「全員外に出ろっ!」
そしてその謎の人型は傘草先生の頬を抜き手で掠める。
「ほぉ。俺に狙いを定めたか」
しかし先生はその抜き手ガッシリと掴み
「流石だな。大当たりだよ」
綺麗に投げ飛ばし、床に激突させる。さらに拳を振り上げ、その頭部を潰さんと突き下ろす。が、寸での所で躱される。
「スピードも中々だな」
「敵を褒めてどうするのよ」
烏川はやれやれと肩をすくめてマスクに指をかける。
「煙幕を張るから、貴方は生徒たちを守りなさい」
「はっ。了解です」
傘草先生が僕たちの方へ駆け寄るのを確認し、烏川はマスクを下にずらす。そして
ボフッ
口から黒い煙の様なものを吐き出す。
「(これは……あの剣と同じ粒子か)」
烏川の隠し武器である黒い剣を形成する時に毎度出現する黒い粒子。それをそのままばら撒いたところか。
「今のうちだ。煙を吸い込まない様に全員体育館外へ退避しろ!」
烏川たちの邪魔にならないよう、僕も同じく退避する。僕なんかがでしゃばるより、ここはプロに任せたほうが良いだろう。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「………全員退却したかしら」
目撃者が居ないなら、コイツを存分に振るえる。
「来なさい、小夜時雨」
空いた窓から一本の刀が飛来し、私の左手に収まる。
今の煙幕は純性エレミュートの毒霧。吸い込んだ人間は体調不良を訴え、亜人は身動きすらできない程に衰弱し、フォリンクリは内部から侵食される。
コイツはその全てに該当しない。つまりコイツは、生命体ではない。
「機械が相手なら遠慮は要らないわね」
「お姉様……!」
聞こえるはずのない声に頭が痛くなる。
「燕翔寺、何でまだ残ってるの」
「お姉様が残ってます!早く逃げましょう!」
「チッ……」
飛来した飛び道具を小夜時雨で斬り払う。
「(………羽、ねぇ)」
ただの機械人形じゃない。中に何か組み込まれてる。ついでに
「そこよ」
真後ろにクナイを投擲すると、鈍い金属音と共にもう一体の機械人形の頭部に突き刺さる。メラノと共に遭遇した機械人形と構造が似ている。
数が多い。一体何体の侵入を許したと言うんだ。
「伏せろっ、燕翔寺!」
「はっ、はいっ」
もう一機の不意打ちを突如現れた大江山が2本のライローで防ぐ。
「あら、意外ね。あなたが燕翔寺を庇うだなんて」
「勘違いしているところ悪いが、別に俺はコイツらに恨みがあるわけじゃ無い」
アームを突き上げ、ガラ空きになった胴体をズタズタにして振り返る。
「俺は、この国を第一に考えているだけだ」
「あっそ」
どうでもいいけれど、大多数の為に少数を切り捨てるやり方は気に入らない。それも桐堂や燕翔寺など本来私達の希望となってくれる筈の若い芽を。
「(まあ、利用出来るものは利用させてもらうけれど」
頭部を損傷し、動きの鈍くなった一機の胴体を小夜時雨で貫く。ついでに動力を少し頂く。
「じゃあ、やりましょうか」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます