第116話
コトリと目の前に皿が置かれる。烏川を除いて全員分だ。
そこにはケーキが一つずつ乗っている。
持ってきてくれたのはメイド服を着たこの店の店長、比出塚紅葉さんだ。
「ごゆっくりー」
そう言ってニコニコしながら去っていく。
「まあ、色々あったでしょうけど今は美味しいものでも食べて気持ちを落ち着かせなさい」
「あ、ありがとうございます……」
「どういたしまして」
淡々とそう言って烏川は外の景色を眺める。空はもう夕暮れでオレンジ色だ。
「烏川は食べなくて良いのか?」
「今お腹空いてないから」
「そ、そっか」
なら仕方がない、と安良川は苦笑いしてフォークを手に取る。
「じゃ、頂こうぜ」
「ああ」
「コーヒーとか飲み物は自分で取って頂戴。元々定休日なんだから」
「おう!」
早速いただく事にする。
フォークで小さく切り取り、口に運ぶ。
「んん、美味しいな」
落ち込んでいた燕翔寺も美味そうに食べている。
「何よ、こっち見て」
「いや、なんでも」
「おかわりは無いわよ」
「そこまで厚かましく無い」
一体いつから僕にそんなイメージが。
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