第115話

 ひとまず僕、燕翔寺、道尾、メラノさん、安良川の5人で蔵ノ月珈琲店に集まった訳だが


「あっ!来た来た!」


 道尾が店の入り口に向かって手を振る。烏川だ。


「悪いわね。遅くなったわ」


 そう一言謝り、空いてるスペースに座る。


「それにしても、良かったのか?」

「何がかしら」

「いや、ここを貸し切りにしてもらって」


 男女問わず人気のあるこの蔵ノ月珈琲店だが、今日は僕たちの他に客は居ない。


 まるでVIPが貸切にしたかの様だ。


 しかしそれは違う様で安良川がゲラゲラ笑いながら僕の肩を叩く。


「ここ毎週月曜日は定休日だぜ桐堂!アッハハ!」

「そうなのか。って、痛いから叩かないでくれ」


 頻繁に来てるわけではないのでそこのところ知らなかった。


「ま、まあ兎に角。全員揃った事だし」

「そうね」

「燕翔寺、何があったんだ?」


 全員の視線が燕翔寺の方は向く。


「実は先ほどの実習中、わたくしが能力で道尾様を焼いてしまったのでございます」


 前々から燕翔寺は「敵に炎が当たらない」と、自信を持てずにいた。


 そしてそれに拍車をかけたのが今日、実習で起こった出来事。無理もない。ただでさえ自信がなかったのに、そんな事があってしまっては落ち込むに決まっている。


 仮想体だった上、その事を道尾があまり気にしていないのが幸いか。


「本当に、申し訳ございませんでした」

「もー、智恵ちゃん。大丈夫だって言ってるでしょー?」

「ですが……!」


 どうしたものか。


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