第117話


「さて、と。気分転換は出来たかしら?」

「えっと、はい。ありがとうございました、烏川様」

「だから気にしないで良いっていってるでしょ」


 一足先に烏川は席を立ち「先に出てて」と言い残し、比出塚さんとなにやら話し始める。


「じゃあ、出るか」

「そうだな」

「ほら、智恵ちゃんも出るよ!」

「待ってください!お会計が・・・!」


 礼儀正しいが、察しが悪いと言うか、なんというか



「(天然なんだな、燕翔寺って)」





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






「んじゃ、今日はここで解散すっか。そろそろ時間だし」

「寮の門限って7時だっけ?まー、大丈夫でしょ!」

「いつも遅刻ギリギリの奴が言うことは違うわね」

「にゃにおー!?」



 相変わらず烏川と道尾の温度差が凄まじい。


「まあ、とにかく今日はここまでにしよう。気分転換出来ただろうし、明日からって事で」

「本日はわたくしの為にありがとうございました」

「気にするな、燕翔寺。皆んな燕翔寺の味方だから」

「そーだぜ。じゃ、またな」

「あたしもこっちだから!じゃね!」


 道尾と安良川はそれぞれ自分たちの寮へと戻る。


 それじゃ僕たちも、と足を動かしたその時


「あなた達は残らなさい。寮長には先に言ってあるから」

「え?」「へ?」「と言うと……?」


 素っ頓狂な声を上げる僕たち3人を見て烏川は


「コソ練をしましょうか」


 少し楽しげにそう告げた。


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