第101話
「お疲れ様、桐堂」
シュミレーションルームを出ると廊下で烏川が腕を組んで待っていた。
「それで、今日はどうだった?」
「なんとなく成長を実感できた気がする」
以前の僕だったらボスはおろか、群れの駆竜の相手すら厳しかった。
それが完全なる圧勝。これが成長以外になんと言うか。
「ふーん、そう。なら、良かったわ」
「本当にありがとう、烏川」
そう感謝を述べると烏川は小馬鹿にしたような微笑みを僕に向ける。
「感謝するのはまだ早いんじゃない?」
烏川の言う通りだ。まだゴールに辿り着いたわけじゃない。それどころかまだ学園祭や大江山という中継地点も残っている。
「今のは無し。礼はまた今度だ」
「それでいいわ。じゃ、戻りましょうか」
頷き、烏川と共に外の広間に出る。
「お、桐堂。ちーっす」
「桐堂様」
「廻影くん遅いよぉ。って、お楽しみ中だった?」
そこにはいつものメンバーが先に待っていた。
「だから違うって言ってるだろ道尾」
「道尾って呼ぶなぁぁぁっ!」
道尾の暴走も今の僕ならいなせる。
「あはは、相変わらず仲のよろしいですね」
「燕翔寺も混ざってきたら?」
「ふぇっ!?そ、それは流石に畏れ多いと言いますか、なんと言いますか……」
「馬鹿っぽいから無理ってことかしら。意外と腹黒なのね」
「違いますよ!?」
道尾からの襲撃をいなし続けていると何やらゴツゴツとした大きな手に肩を掴まれる。
「桐堂、元気になったのは良いが限度も大事だぞ?」
「は、はい」
傘草先生だ。
ふと気づけば皆んな列に並んでいてはしゃいでるのは僕と道尾だけ。そして道尾だけが捕獲される。
「あ、アタシ!アタシは!?」
「お前はいつもの事だろうが。いつも通り後で職員室に来い」
「Oh my god!」
アクセントもクソもない下手な英語で道尾は絶望を表すのだった。
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