第100話



「………」


 グゥゥゥゥゥゥンッ・・・


 飛び込んだ先の空間で角の壁に寄りかかり、シオンの銃口にエレミュートを収束させる。


「クルルルルル……」


 足音とともに唸り声のようなものが聞こえる。


「(やっぱり、隠れられないな)」


 駆竜の嗅覚があればある程度僕の位置はバレるだろう。しかし


「(何をしようとしているかはわかるまい)」


 チャージ完了と同時に飛び出す。


「ケキャッ!」

「遅いっ!」


 出会い頭。僕を見つけて大きく開いたその口にフルチャージした高濃度エレミュートのビームを放つ。


「ギャフッ!?」


 フルチャージショットでオーバーヒートしたシオンを投げ捨て、僕はロッカを両手で握り全力で振り下ろす。


「はぁっ!」


 狙いは、目だ。


「ギュォォォォァァァッ!」


 右目を目を潰し、生まれた死角から回り込む。これこそが僕が烏川から教わったジャイアントキリング、格上に勝つ方法。


『桐堂、なんで私が未だに眼帯をつけてるか分かってる?』

『治ってるんだよな?さっぱりだが』

『あのねぇ、桐堂。眼帯がついてるってことはそこの視界が塞がれてるってことよ』

『だが、それは卑怯じゃ……』


『はぁ……御し難いわね』


『いい?これは貴方の鍛錬よ。そんな甘さは今必要ない。敵は容赦なんかしてくれないわ。フォリンクリは勿論、大江山が怪我した貴方に手加減してくれるとでも?』

『………』

『相手の弱みはつけ込みなさい。生きるか死ぬか、ハンターとはそういうもの。貴方の優しさは奴らに必要ない』


 執拗に死角になった右側をひたすら斬りつける。反撃が来るが狙いが定まっておらず躱すのは容易。


「まだまだっ!」

「ギュアッ、ギィッ」


 振り返るたびに相手から見て右側へ、右側へ回り込むみ、斬る。そして、あるものを取り出し、逆手に持つ。


「(そして!)」


『隙あらばもう一方も潰してやりなさい』


 烏川から一本だけ貸し出された漆黒のナイフの様な実体剣。名称は「クナイ」と呼ぶらしい。


「これで、どうだ!」


 それを一切の迷いなくもう片方の目に突き刺す。


「ギュォォォォォォォァァァッ!!!」


 再び悲鳴をあげる駆竜。これでもう、なす術はない。視界を完全に潰され悶える。


 ロッカを出力を全開にし、勢いを乗せた横薙ぎを放つ。青白い光が線を描き、駆竜の首を捉える。


「取った!」


 駆竜の首が白い粒子を放出しながら宙を舞う。そしてトドメにコアを突き刺し、破壊する。


「目標、達成」



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