第99話
「ふっ!」
駆竜の爪を敢えてロッカで受けずに躱し、そのまま横から斬りつける。
そして後ろの壁の影からもう一体が飛び出してくる。
「(見えている!)」
片手に持ったシオンでフルオート射撃を行う。威力は大した事ないが一時的に奴の動きを止めれれば問題はない。
ひるみ、隙ができた瞬間右手のロッカでその首を斬り落とす。
「次だ!」
首のない駆竜にトドメを刺しながらシオンの標準を次の相手に合わせる。
「クルルルルル……」
こうも立て続けに味方を失えばいくらフォリンクリであろうと警戒する。
しかし、ある個体の登場で群に余裕が現れる。
「(来たか)」
他の個体より一回り大きく、額には目立つ真っ赤なトサカ。群れのボスだ。
「(正面からはやり合わない方が良さそうだな)」
だが、格上との戦闘のコツもしっかり烏川に教わっている。所詮付け焼き刃にすぎない。けれど
ここにはうってつけの廃墟がある。
「(早速試させてもらう)」
シオンで一発だけボスの頭部を撃ち、僕は迷わず廃墟に飛び込んだ。
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「チッ、想定外の事態だな……」
「………」
ズタボロで最早半裸としか言えない様な服装に欠損した左腕。ここまで追い詰められてなお奴の眼光が衰える様子は無い。
「まさか、あのリッパーがこの学園に潜んでいたとはな……くっ」
「私をその名でもう一度呼んでみろ。今すぐバラバラにしてやる」
「ふっ、そいつは遠慮しておこう」
忌々しそうに私を一瞥すると、崩れた壁に出来た大きな穴から外へと飛び出し、去っていく。
「ふぅーっ、全く面倒ね」
さて、と。邪魔者には御退場頂いた事だし私もさっさとノルマ達成しないと。
「(桐堂は上手くやってるかしらね)」
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