第96話


 昼食を終え、午後の準備をする。


 結局朝の質問攻めは調子に乗った道尾が烏川にも絡んだため、彼女に身も凍るような視線を向けられ解散となった。


 改めて只者ではない事を感じさせる。


 グビッ


「……ふぅ」


 烏川はカフェオレだけを飲んで準備を始めている。いつも食事をしている様子を見ないが、食べなくても良いのだろうか。


「そろそろ成果が出て欲しいものね」


 独り言のようにボソッと呟き、僕を横目で見つめる。あまり焦らさないでほしいが、確かにそろそろ成長を実感できる何かが欲しい。


「そろそろかなぁ〜?」

「だから焦らさないでくれって」


 兎に角、今日の実技で何か得られるかもしれない。


「(やれるだけ、やってみるか)」


 少し、楽しみだ。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





「………」


 桐堂の横顔を眺める。


 何だかんだ世話を焼きたくなる彼だが、今は良い面構えになっている。


「(目までキラキラさせちゃって、ねぇ)」


 また右目の虹彩が金色になっている。


 桐堂自身の実力は多少なりとも上がって来ている。


「(それにこの目の本来の力が加われば)」


 未だ謎に包まれたままの桐堂の目。人類が勝つための最終兵器。


「(ねえ、桐堂。貴方はどんな未来を見せてくれるのかしら)」



 

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