第57話

「いくわよ」

「ガッテン!」


 クナイを一斉に投擲し、同時に駆け出す。紅葉さんの方は飛び乗った上の鉄骨を逆さに駆けて迂回している。


「あら、あら」


 クナイは全弾弾き返されるがそれはただの陽動。


「ふっ!」


 小夜時雨を抜刀、斬りつける。そして同時に紅葉さんが上から強襲する。


 挟み撃ち。そして徐々に右回り位置を入れ替えながら斬撃を仕掛け続ける。


「………」


 届かない。たかが一本の大鎌だけで2人同時に相手し、すべていなしてくるなんて。


「(作戦変更よ。私が援護にまわる)」

「(オッケ!)」


 そのまま斬りかかると思わせ、先程コイツが穴だらけにした地面に潜り込む。


「くーらー」


 そして紅葉さんの攻撃を避けれない様、奴の足を下から縛り付ける。


「コレは・・・」

「えっ!」


 紅葉さんの強烈な一撃を受け、吹き飛ぶ。


「まだよ」


 しかし、まだこの鎖は解いていない。


 靴底に仕込んだナイフをアンカーがわりに橋に撃ち込み、力任せに鎖で縛った奴を振り回す。


「もう一発っ!」

「オーケーよ」


 橋の上に戻りながら紅葉さんに向けて奴を振り下ろす。


「せーのっ!」


 ドゴォッ


 今度こそ勢いよく飛んでいき、橋の鉄骨に叩きつけられる。人間でなくてもかなり大ダメージを受ける筈だ。


「(けど、念には念を)」


 右手を開き、純性エレミュートを放出、収束させる。そして、同時に白くなっていく私の頭髪。


「(ここでトドメを刺す)」


 収束させたエレミュートを一本の槍に変形させる。流石にこれを受けてまともに生存できる生命体はこの世に居ない。


 その時


「お遊びはもう終わりましたか?」

「っ!?」

「でしたら、今度はこちらから」

「チッ……!」


 槍を投擲する。


 しかし、槍は奴の目前でボールにかかった水のように円形に飛び散る。


「なっ……」


 そこには、薄く、青白い障壁のような球体が奴を包むように現れていた。


 そして……


 また別の小さな球体が何処からともなく出現し、一斉に輝きを放つ。


「ちょーっと、不味くない?」

「……そうね」


 次の瞬間、一斉に放たれた閃光が視界を埋め尽くした。


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る