第50話


 プシュッ


 今回は本土での会議。


「いらっしゃいませー。あ、暁海ちゃん!」

「………」


 出迎える紅葉さんを無視して室内を見渡す。


 スーツ姿の男性だったり軍服を着た男性だったり、はたまた着物を着た女性だったりと様々な容姿の客は居るが、どれも見知った顔。


 全員、対策部(ボケナス)共だ。


 「(急な呼び出しに応じて、わざわざ出向いた訳だけど……)」


「平日の、しかも学生の私を呼び出して何の用なわけ?」

「も、申し訳ございませんオルカさん……」

「謝罪は要らない。聞きたいのは要件だけ」


 ペコペコ頭を下げる連中を払いのける。


 わざわざ私を引き戻して使う理由。大したことない理由だったらここをまとめて爆破してやる。


「で、何の用なのかしら?護衛はもう先客がいるから勘弁してよ」

「大丈夫!そこは安心して!」

「ああそう」


 勝手に給湯室のポッドを拝借してカフェオレを自作する。わざわざ遠くから来たんだからコーヒーくらい貰わないと。


「(やっぱり、自分で淹れるのが1番ね)」


 ほかの連中の分はもちろん用意してない。


「ホントごめんね、暁海ちゃん。でもホントに大事な用事だから」

「……わかってるわよ」


 普段はアレだけど、紅葉さんがこんな時にふざけるような人じゃない事は知ってるし、それくらいは信頼してる。


「最初から怒ってない。大事な要件なんでしょ?早く言って」

「うん。その件なんだけどね」


 紅葉さんの表情からも笑顔が消える。この顔は久しぶりだ。メンバーもその圧迫感から沈黙する。


「見つけたんだ、例の奴を」

「……成程ね」


 やっと、あの連中の尻尾を掴めたわけだ。それなら私を使わないと無理な重要案件だ。


 これでやっと、奴を消せる。


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