第47話

とある一室にて。


「おや、お客さんかい?」


 デスクに座る一人の少女が微笑む。その姿は白衣に身を包み、まるで科学者の様な風貌をしている。


「こんな所に珍しいね。ささ、適当にすわりたまえ。お茶も出そう」


 少女は椅子を立つと、そばの棚からティーセットを取り出す。


「ん?ボクかい?……んー、そうだな。ボクの事はプロフェッサーと呼ぶと良い」


 不敵に微笑みながらカップに注ぐ。


「いやぁ、ボクもやれば出来るもんだ。ん?ああいや、こっちの話さ。気にしないでくれ、君は客なんだからゆっくりしてると良い」


「さて、と。どうぞ」


 手元に置かれたのは上品なティーカップに注がれた紅茶。良い匂いが漂っている。


「茶菓子は悪いね、ちょうど切らしているんだ。そ、の、代、わ、り。面白い話をしてあげよう」


 そう言って少女はニヤリと笑う。


「順調に成長していく少年。しかし、次なる魔の手が少年へと伸びていた。第4章、疑惑と焦燥」


そこまで言うと少女はフンスと鼻を鳴らす。


「うん、我ながら良い次回予告だ。そう思わないかい?…………ん?思わない?」


 一度項垂れる様に俯き、再び顔を上げる。


「ボクは文系が苦手なんだよ!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る