疑惑と焦燥
第48話
「お、おはよ。桐堂くん」
「おはようございます、メラノさん」
朝、教室に入ると僕たちのクラスに例の人形の正体である金髪の女子生徒、メラノさんが遊びに来ていた。
「桐堂様、おはようございます」
「ああ。燕翔寺もおはよう」
どうやら先程まで燕翔寺と何やら話していた様だ。この2人が並んで座っているとなんだか優雅な雰囲気が漂う気がする。
「そ、それでね、ここの場面がね・・・」
「成る程・・・」
「(2人で本を読んでいるのか)」
それぞれ片側を持って2人で一つの文庫本を見ている。口振り的におそらくメラノさんの本だろう。
「何ていう本なんだ?」
「この本ですか?これはk「だ、ダメっ、教えちゃ」そうなのですか?」
「・・・・」
どうやら僕には教えられない様なタイトルの本らしい。どんなものかはあまり想像しない様にしておく。
「すみません、桐堂様」
「いや、大丈夫だ」
誰しも人に知られたく無い恥ずかしい事くらいあるだろう。
僕だってある。女子にコテンパンにされたとか女子にコテンパンにされたとか………それをわざわざ知ろうとするのは無粋だろう。
「桐堂くんは、何か本とか読むの・・・?」
「はい、一応。自己紹介でも言ったので燕翔寺は知ってると思いますけど、ミステリー小説とか好きですよ」
「そ、そうなんだ」
それを聞いてメラノさんはどこか嬉しそうに頬を緩ませながら両手の指をモジモジと動かす。
まあ、最近は命を狙われたりスパルタな鍛錬に付き合わされたりとそれどころじゃ無いんだが。
「(それにしても・・・)」
道尾が遅いのはいつもの事だが、最近じゃよく一緒に行動を共にする様になった黒髪の少女が居ない。この時間にはもう来ているはずなんだが。
今日は朝の鍛錬もなかった。それに、最近の烏川の挙動は少し怪しい気がする。
「(一体、どうしたんだろうか)」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます