第34話
放課後
「(…………よし)」
ピーンポーン
ドアの近くに設置されたパネルに手を触れるとインターホンが鳴り、中の人物の足音が近づいて来る。
404号室。廊下の突き当たりにある僕の部屋のすぐ隣の部屋だ。
プシュッ、と扉が開き、中から出てきたのは制服姿の長い黒髪を持つ少女、烏川。
「何」
「ちょっと外出しようかと思って」
「分かったわ」
命を狙われていると知っていて一人で出歩くほど僕の肝は座っていない。外出する時こそ護衛の彼女を頼らねば。
「ちょっと待ってて頂戴」
そう言って烏川は一度部屋に戻ると、少し経ってからまた出て来る。
眼鏡を外して代わりに帽子を被り、制服の上に黒い上着を羽織っただけの変装にしてはお粗末な姿だ。
「そんな感じで大丈夫なのか?」
「勿論。貴方が異常なだけよ」
「……?そう、か?」
よく分からないが、烏川が大丈夫なら良いか。
「で、何処に行くつもり?」
烏川は閉まったドアにもたれ掛かり、腕を組む。
「それなんだが………まあ、着いてきてくれ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「はぁ………」
目的地に着くなり、烏川の深い溜息が。
「あのねぇ、桐堂。一応言っておくけれど、私達は便利屋じゃないのよ?」
「分かってる」
「はぁ………」
「心底面倒だ」と、ばかりに再び溜息をつく烏川。
日の静まった頃、僕達は無人の校舎に来ていた。
勿論、目的は謎の生徒【メラノ】さんと、その人形だ。
「………烏川、そっちはどうだ?」
「誰も居ないわよ」
「そうか」
やはり、昼間の校舎と違って怪しげな雰囲気が漂っている。
烏川には申し訳ないが、夜に一人で出歩く程今の僕が危険な状況は無い。
「そこ、一歩でも前に動いたら監視カメラに映るわよ」
「早く言ってくれ!?」
慌てて後退りする。
「全く、何で私ばかりこんな目に……」
「今度は何だ!?」
「別に。独り言よ」
「そうか」
ひとまず準備は出来た。足音もなく先行する烏川に続いて監視カメラの目を掻い潜って忍び込む。
捜索開始だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます