第33話
「確か名前は…………【メラノ=リードリヒ】って言ってたな」
安良川は人差し指を振りながら件の人物の名を告げる。
「(メラノ=リードリヒさん、か)」
聞き覚えのない名前だ。
「(亜人族の人かも知れないな)」
2人に視線を送るが燕翔寺も首を傾げる。烏川にいたってはそもそも興味がないらしく、読書を始めていた。
そういえばいつも何を読んでいるのだろうか。
「そしてね、ここからが本題なの!」
まだ本題じゃ無かったのか。と言う疑問は呑み込み、僕は黙って道尾の力説に耳を傾ける事にする。
「で、これが出てくるわけ!」
そう言って懐から取り出し、何やらスマホを操作する。
この武凪士学園ではスマホにインストールしたアプリを使用し、電子学生証としても扱うため、授業中に使用するなど余程のことがない限り使用に制限はされていない。
ピコンッ
「……ん?」
軽い調子の着信音が僕のポケットから聞こえる。
音の正体であるスマホを取り出すと、一件の通知が来ていた。
連絡先を交換した覚えはないからクラス共通のグループ経由で勝手に登録されていたのだろう。
まあ、それは良いとして。
「これは……」
送られてきたのは一つの写真データ。ぬいぐるみの人形がちょこんと机に座って写っている。背景が暗いことから夜の間に撮影されたのだろう。
「お人形さんでございますね?あの、道尾様。このお人形さんがどうかされたのですか?」
さも当然の疑問に道尾は「待ってました」と不敵に笑う。
「この人形ね」
「自分は【メラノ】だ。って名乗ったんだってさ」
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