第27話
「…………」
シュミレーションルームを出ると他のクラスメイト達はほとんど揃っていた。
「だぁー畜生ぉー!」
悔しがる声ややけ大人しいクラスメイトがちらほら。
そりゃそうだ、相手は駆竜。基本群れで行動する上に初の戦闘。燕翔寺達と合流出来た僕はかなり運が良い。
「よし、桐堂も帰ってきたな。全員整列!」
まだ数人ぶつくさ言っているがひとまず全員、言われた通りに整列する。
「今日は初の実技で疲れたと思う。という事で、HRはこの場で終わらせる。教室に戻ったらそのまま帰っていいぞ」
「おっしゃぁ!」「先生最高っ!」
「まだ終わってねーからもうちょい静かにしてろ。取り敢えず先に今日のことについてだ」
先生はそう言って歓喜する生徒達を一旦黙らせ、クラスメイト達を見回す。
「成功した奴も失敗した奴も、初めてでよく頑張った」
「成功した奴は今日の感覚をしっかりと覚えておく事。失敗した奴もしっかりと今日の悔しさをバネにしろ」
「………」
「けど、気に病む事は無い。何せ初めてなんだからな。これから慣れていこう。次に連絡事項だ。明日も通常授業、午後は実技もある。桐堂っ!」
突然名前を呼ばれ立ち上がる。
「えっ、あっ、はい!」
「今日のお前の動き、かなり良かったぞ。その場での咄嗟の判断力も中々良い。これからも励む様に」
「あ、ありがとうございます」
褒められた。自分的には不満の残る結果だと思ったが、思いのほか絶賛だった。
「だが、忘れ物はしない様にな?」
「は、はい……」
すっかりそのイメージが定着してしまったらしくクラスメイト達の中でも笑いが。現文の教科書も忘れてしまっていたし、本当に気をつけないと。
「笑ってるがお前ら、桐堂の方が一歩リードしてるのを忘れんなよ。では解散っ!」
先生の声と共にワラワラと列がバラける。
「おめでと。今日のMVP」
「あ、ああ……ありがとう」
烏川から称賛の声が。あまり気持ちの篭ってなさそうな抑揚の無い声だが、それでもなんだかむず痒い。
それが同級生の女子だからなのか
「よっ!MVP!」
「お疲れ様でございます。桐堂様、烏川様」
「燕翔寺こそお疲れ」
シュミレーションルーム内で協力した2人も集まり、すっかり馴染んだ四人組になる。
「じゃ、戻りましょうか」
「ああ」
こうして僕達の初めての実技訓練が終了した。
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