第10話
「桐堂さんは?」
「僕か?僕は……」
烏川から声をかけられ、鞄を漁り、申請書を探す。図面も載っているためそれを見せた方が早い。が……
「…………無い」
「は?」
期待の眼差しが軽蔑の視線に変わる。
「どうされたのですか?」
「いや、その……」
「………?」
「申請書を忘れた……」
どう探しても見つからない。
「(可笑しいな、確かに入れておいた筈なんだが……)」
「それは大変でございます………ど、どうしましょう……?」
「アッハハ!やっちゃったねー廻影くん!アッハハハ!」
燕翔寺からは心配され道尾からは笑われる。そして、烏川からは心底哀れた顔をされた。
「桐堂は自習。それ以外は全員ついて来い」
昼休みが終わり、午後の実技の時間が始まるが申請書を忘れた僕だけ教室で自習することに。
「またね、廻影君!」
「なるべく直ぐ戻りますから……!」
「あ、ああ……」
相変わらずケタケタ笑う道尾と申し訳なさそうな燕翔寺に手を振り大人しく席に座る。
申請書を持って来た生徒達は今日それを提出して早速ハウンドを受け取るわけだが、まさか初日からやらかすとは。
「(アレは完全に目立ったな………)」
クラス中の視線が集まってしまった。
まあ、過ぎた事は仕方がない。自習しろと言われたし適当に教科書でも読んでいよう。
「(それにしても………)」
教室を見渡す。ほかに生徒はいない。
「(一応普通科も、見にいくんだな)」
普通科の烏川も居なかった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「【
挙動の怪しかった3人の生徒を確認する。敵は1人とは限らないけど……
『オルカさん、準備は良いですか?』
「もう少しよ」
通信機ごしに聞こえる若い教諭の声に着替えながら返事をする。
「さて、と……」
愛用の黒いジャケットに腕を通し、一振りの刀【
「準備完了よ」
『了解です。合図はこちらから出しますので、それまでは待機をお願いします』
「ええ、分かったわ」
伊達眼鏡を外してケースにしまい、代わりに黒い帽子を被る。
『では、出動をお願いします』
「了解」
「偽装名オルカ。行動開始」
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