第11話 密会
「ユッコ、木崎君とはおつきあいしてるの?」
瑞穂は尋ねた。
「お伝えしようと思っていたんだけど。時々音楽会に行ったりしています。」
「えっでも・・・山下君が亡くなってそんなに経ってないし。どうなのかしら」
「人恋しくてどうしようもない時もあるのよ。琉人君はそんなときに現れたの。先週、プロポーズされました」
瑞穂はまじまじと柊子を見た。
私の最愛の人を奪っておきながら。また、突然に、こんな若くて才能ある青年に申し込まれるなんて。屈託無く笑う彼女を憎くさえ思った。
夫の当直の晩、気になって柊子のアパートにに瑞穂は出向いてみた。もう帰っているはずの部屋には明かりが無かった。
ややもして、見慣れた車がやってきたのを見て衝撃で瑞穂は後ずさった。
車は夫のものだった。
車が止まると夫がすぐおり、エスコートする様にして柊子が降りた。
息をひそめて物陰で見ている瑞穂をよそに、夫は柊子と一緒にアパートの中へ入って行った。瑞穂の背筋に戦慄が走った。
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