第2話 同級生

高校時代、瑞穂と柊子は董泉学院で机を並べていた。柊子はピアノが上手く音大を目指していた。瑞穂は女子大志望で二人とも仲が良く容姿にも恵まれ目立った学生で男子生徒にも人気があった。瑞穂は髪が長く目鼻立ちがはっきりしていてクラスのマドンナ的な存在だったのに対し、柊子ほうはショートカットで少しボーイッシュな感じ、やせっぽちで笑う時は顔をくしゃくしゃにするのもチャーミングだった。卒業が近くなったころ、瑞穂は学校の野球部の人気者だった山下と付き合うようになっていた。山下は慶大へ進学、瑞穂も希望の女子大に柊子は音大へとそれぞれ進学した。


山下は陽気な性格でとても優しく、でもここぞという時には男気を発揮する頼れる青年で、瑞穂も将来は山下との結婚を望み心待ちにしていた。しかし大学も4年を迎えたころ瑞穂は突然山下から別れを持ち出された。山下以外の男性など考えたこともない。しかし山下の決意は変わらなかった。


ほどなく瑞穂は思いがけない噂を耳にする。山下が柊子と付き合っていると言うのだ。瑞穂の心とプライドはズタズタに引き裂かれた。そしてその噂をうらずけるように柊子と山下はやがて結婚し、子供も生まれたと聞いたのだった。


瑞穂は怒りと傷心の中で、勧められるままに北病院の院長の息子浩司と結婚した。

浩司はエリート医師で世間的には瑞穂のほうがはるかにハイソサエテイに見えたが、瑞穂の心は裏切った山下を許せないままだった。

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