第5話「苗場の森旅館」

あやみと友里恵は、「苗場の森旅館」に向かった。

あやみと友里恵は「苗場の森旅館」に着いた。

「苗場高等学校」の近くだったので迷うこともなくすぐ到着する事ができた。


到着すると、すぐ若い女将さんと大女将さんが

出て来て、出迎えてくれた。


「遠いところからよくいらしてくださいました。

今日はゆっくりとお寛ぎください。

美味しい料理と温泉がうちの自慢ですのよ。

板長が腕を振るってくださいますので

自慢なんて言えますのよ。

温泉は天然温泉なのでお客様にも喜ばれますの。」若女将はそう言って荷物を持ってくれた。


大女将は

「編集長には、いつも当旅館をご利用いただいて感謝していますのよ。

今日は中村さんが、来られなくなったと聞いて残念でしたが、なんでも行方不明とか?

とても心配です。

まだ見つからないままだと聞いていますが?何か分かりましたでしょうか?」


あやみは


「何も分からないんです。何か手掛かりでも見つかればいいんですが~。」そう答えた。


次の瞬間大女将は言った。


「今日は中村桂子様の代わりにわざわざ取材に来てもらって、てっきりキャンセルになると思っていましたのに。」

そう話した。


あやみは聞いた。


「ちょっと待ってください。中村桂子さんが来る予定だったんですか?」


「そうです。中村桂子様とカメラマンの方の予約でしたが?聞いてませんでしたか?

これは、余計な事を言ってしまいましたね。

済みません」


大女将は、済まなさそうな顔をしていた。


あやみは「気にしないでください」

そう言って笑ったが、内心

「編集長、何が親子旅行なんだか!

どうりでおかしいと思ったわ。

あの、こき使ってばかりいる編集長が、

私達親子に妙に優しいと思ったわ。

何が友里恵ちゃんの為よ!」そんな事を考えていた。


案内された部屋は和室でお洒落な部屋だった。

ベットと畳みの部屋両方あって窓からの眺めは格別だった。


友里恵は「綺麗。こんな素敵な部屋に泊まれるなんて夢みたい」そう言って喜んでいた。


あやみは大女将さんと若女将さんに話を聞いた。

「この旅館でおかしな事はありませんでしたか?」


「そう言えば、うちの中居が夜中に一人で廊下を歩いているのを見ました。「何処に行くの?」と聞くと鈴の音が聞こえたと言うのです。

夜中にですよ?誰もいないし、中居部屋から遠いところなのにおかしいですよね?」


あやみはさらに聞いた。

「どのあたりですか?」

「大浴場の近くなんですけど、大浴場とは、反対の廊下でした。それに、うちの中居さんも一日ですけど、「癒やしの森」に、行って戻って来た人が三人います。」そう話した。


あやみは

「その三人の中居さんに話を聞く事は可能ですか?」そう聞くと


おお女将は言った


「中居さん達の仕事が終わる夜22時にロビーでよろしいでしょうか?三人の中居さんには私から話しておきます。」


あやみは「助かります。ありがとうございます。」そう御礼を言って取材の許可を貰う事ができた。


大女将は更に続けた。


「あと、もう一つ気になっている事が。

中村桂子様は、この近くの取材の時は

必ず取材の一ヶ月前には個人で必ずここに泊まるんです。だから、今回も連絡が来ると思っていました。なのに一度も連絡がなかったのです。

その後、行方不明になったと聞きました。」


あやみは驚いた。

「一ヶ月前に下見に?個人で?」

「そんな熱心な人が行方不明になるのだろうか?

もしかして「癒やしの森」から帰って来られなくなったのでは?」


「それでは、私は仕事に戻りますので、22時にお願いします。お食事の時間と場所はそちらのパンフレットに記載されていますので、時間内にお越しください。それでは。」

女将は仕事に戻っていった。


あやみは編集長に電話を掛けた。

「編集長、中村桂子さんが行方不明になる前何か言ってませんでしたか?」


編集長は

「それが一日休みがほしい、そう言って出掛けたきり行方不明なんだ。捜索願いも出しているのに今だに何の手掛かりもないんだ。」


「そうですか?」


あやみは思った。

「やはりそうか!中村さんは下見に来ていたんだ。でも、今回は「苗場の森旅館」じゃないこの周辺のホテルに泊まって調べていたんだ。何故?今回は違うんだろう?」


あやみは中村さんの行方不明になる前の行動が気になっていた。


「編集長、私と娘は中村さんの代わりじゃないですか!親子水入らずとか言っておいて‼️」


編集長は

「済まない、せっかく押さえておいた部屋が勿体ないと思ってね。まあ、いいじゃないか。親子二人で旅行できたわけだし。中村さんの手掛かりが分かるかもしれないし。」


「分かりました。中村さんの手掛かりを必ず見つけて「癒やしの森」の事も必ず見つけて、必ず帰ります。」


あやみはそう言って電話を切った。


「確かに娘と二人っきり旅行を一ヶ月もできるなんて幸せな事だわ。友里恵もあんなに喜んでいるし、中村さんの為にもしっかり取材しないと。」


あやみは心に強く誓った。


夕食時、ディナーは「和食のコース料理だった。」

友里恵も「和食もたまにはいいもんね」と、満足した様子だった。

デザートは和菓子の洋館に抹茶が綺麗に散りばめられている綺麗なデザートだった。


食事が終わると、大浴場の温泉に浸かりながら

ここぞとばかりに、娘といろんな話をした。


その後、友里恵を寝かせたあやみはロビーに向かった。ロビーには、三人の中居さんが、待っていた。

「お仕事終わったばかりで疲れているところ、申し訳ありません。私はこういう者でして。」


「旅取材娯楽部?出版社の方ですね。

「癒やしの森」の話を効きたいとか?」


話を聞いたのはこの三人の中居さんだった


月影 真由美

田島 由美

北島 未来

の三人だった。


三人は同じ事を話していた。


「夜中、目が覚めると鈴の音がして、鈴の音の方をたどって歩いていました。大浴場の近くの反対の廊下を歩いて白い壁にさわったとたんに目眩がして倒れてしまったのです。

そして気がついたら「癒やしの森」にいたんです。でも、お客様の事が気になって「早く帰りたい」そう願うと次の朝キッチンで倒れていたんです。」


あやみは

「三人とも同じ事を言うなんて、この旅館にも何かある。」そう感じた。


あやみは「今日は疲れているところ申し訳ありませんでした。」そう言って取材を終わりにしたあやみは大浴場近くを検索してみる事にした。


これからどうなるのか?

中村さんが行方不明になった事もこれから徐々に

わかる事になる。


続く





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