第2話「会社」
娘の成長は早いもので友里恵は小学四年生になっていた。
あやみは出版業界で相変わらず取材に駆け回っていた。やっと自分の担当の旅行のスイーツ部門を書きあげてほっとしていた時だった。
会社のみんなも、自分の担当のところを書きあげた人がたまたま、この日は多かった。
あやみは久しぶりに会社の休憩室で、珈琲とコンビニで買ったスイーツを食べて。
お喋りに花を咲かせていた。
そんな時、面白いテレビにあやみは釘つけになった。
「田中さん、佐藤さん、こんな事ってあると思いますか?テレビでやってる都市伝説。
あり得ませんよね?地図にも載ってない癒やしの森があるなんて。
しかも、そこから帰ってきたとか?」
田中は「ないでしょ。そんなの。高校生の作り話しじゃない?口避け女みたいな。」
佐藤は「そうそう、テレビの視聴率あげるために言わされてるとか?」
二人はそう話した。
「そうですよねー。そんな地図にも載ってない森があったら行ってみたいもんですよ。」
あやみは笑った。
テレビは苗場の方の山奥に地図にも載っていない
「癒やしの森」という名前の森があって、帰って来た人と来ない人がいると言うものだった。
テレビを見ていると高校生がこう話していた。
「私、気づいたら「癒やしの森」ってところに行っていたんですよ。」
アナウンサーが聞いている
「何でそこが「癒やしの森」ってわかったんですか
どうしてそこに行く事ができたんですか?」
高校生は
「私、山でお母さんと山菜取りをしていたんです。そしたら足を滑らせてしまって、お母さんの前で山から滑り落ちたんです。
そしたら旅館みたいな家の布団に寝ていて。
「おばあさん」が来て言ったんです。
「大丈夫かい。気絶していたから運んできたよ。
ほれご飯食べて温泉にでも入りな。」
そう優しく声をかけてくれて、温泉も入れてくれてご飯もとても美味しかったんです。
私は、「あの~。ここはどこですか?」
そう聞いたんです。
そしたらお婆さんは、
「ここは、地図にも載っていない
「癒やしの森にある。たった一軒の旅館だよ。」
そう言ったので私は慌てて、
「あのお金持ってないんです。旅館代払えないんです。お母さんに電話しないと。
あれ?携帯がない?落としたのかな?済みません電話貸していただけませんか?」
そうお婆さんに言いました。
するとお婆さんは、
「ここには電話なんて、ないんだよ。
いつまでもいていいんだよ。
名前は?」
そう聞くので私は
「斉藤未来 高校二年です。そう言いました。」
すると、お婆さんは「そうかい、そうかい、未来ちゃんあなた疲れているね。ここでゆっくり休みなさい休んで疲れが取れたら帰るんだよ。」
そう言いました。
「確かに私は疲れていました。
大学受験だと言うのに成績は一向に伸びない。
第一希望は無理なんじゃないかとイライラが溜まっていました。
私はお婆さんの優しさに甘えて、
毎日、温かい布団 温泉 囲炉裏で焼いたお魚は格別でした。
でも、一ヶ月くらい?たった頃お婆さんは言いました。「いつまで居るんだい?このままここにいると帰れなくなるよ。
もう疲れは取れただろう帰るんだ❗」
お婆さんは急に怒りました。
「私はどうやって帰るのか帰り方が、わからない。
もっとここに居させて、帰りたくないそう泣きながら頼みました。
お婆さんは、「強く帰りたいと願わなければ帰れなくなってしまう。」お婆さんはそう言いました。
そしてお婆さんは、これを見なさい。と私に言いました。
私は帰れなくなってしまった人達の姿を見ました。
その姿を見た時ゾッとして、帰りたいと強く願いました。そして気がついたら、親友の家の前に倒れていて、親友に助けられました。
私は強く「親友に会いたいと願っていたのです。」
アナウンサーは
「えっ?親友に?両親じゃなくて?」そう聞いていました。
女子高校生は
「両親には悪いんですけどー。親友に会いたくて。一緒に受験勉強したくて。」
そうテレビで話していた。
次のインタビューは中学二年生の男子だった。
「僕は親から勉強勉強と言われて嫌気が差して家を飛び出したんです。そしたら車にぶつかりそうになって避けたんです。その時頭を打って気絶して
気がついたら「癒やしの森」に」
次はシングルマザーのお母さんだと言う人の話だった。「シングルマザーで仕事して子育てして疲れていて会社で倒れたんです。
目を開けると「癒やしの森にいました。
お婆さんが出てきて」そんな話しが
テレビで流れていた。
共通する事はみんな
「疲れている。お婆さんがいる。帰りたいと思わないと帰る事が出来ない」と言うことだった。
あやみはそんな都市伝説は絶対に信じない人だった。あやみは休憩室で皆に話した。
「私は、ホラーミステリー部門担当じゃないし、
スイーツ旅館部門だしね。取材とか縁がないよ。」
そう言って笑った。
「確か斉藤さんミステリー担当ですよね?取材とかどうです?」
斎藤は「勘弁してよ。やっと雑誌仕上げたんだから、少し休みたい。
有給貰ったからこれから旅行だよ。」
あやみは言った。
「なら癒やしの森ぴったりじゃないですか?」
休憩室からは、久しぶりの笑い声が響いていた。
休憩が終わりディスクに戻ろうとすると、編集長が呼んでいるとの事であやみは編集長の部屋をノックした。
編集長は言った。
「さっきテレビでやっていただろう。
都市伝説?
その「癒やしの森」の取材をしてきてくれないか?その癒やしの森だけの雑誌を一冊君に任せたいんだ。聞くところによると、忙しすぎて友里恵ちゃんと話しもしていないし、旅行も一度も行ってないそうじゃないか?まあ俺のせいもあるが。
そこでだ、この旅行券で友里恵ちゃんと二人で旅行を兼ねた「癒やしの森」の取材に行ってくれないか?一冊任せるし、五万円の旅行券をあげるし、
有給も、使ってたまにはゆっくりして来なさい。
友里恵ちゃんと楽しい夏休みを過ごしなさい。
一ヶ月間ゆっくり出来るように旅館も手配しておいたから。「苗場の森旅館」ここに泊まればゆっくり出来るし、取材も出来る。旅館の費用は、
友里恵ちゃんと二人分払っておいたから」
「本当ですか!友里恵も喜びます。
夏休み楽しんで来ます。ありがとうございます。
でも、ミステリー担当じゃないのにいいんですか?」
あやみは聞いた。
「斎藤は有給でこれから外国行くし、中村は連絡がないんだよ。捜索願出しているんだが、
家族も居場所がわからず困っているんだよ。
じゃあ決まりでいいな。」
あやみはすぐに答えた
「行きます。ありがとうございます。友里恵とたくさんお喋りしてきます。
お土産買ってきます。」
娘とのはじめての旅行で、
あやみは、テンションが子供のようにあがっていた。
「明日から小学校も休みだ早速明日から頼む」
そう編集長は言った。
「帰ったら友里恵喜ぶぞ。
あんなに旅行に行きたがっていたんだから。
友里恵の喜ぶ顔を見るのが楽しみー。」
あやみはその事ばかり考えていた。
続く
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