第8話

 休憩を終え、しばらく歩くと町に着いた。入口に「ようこそ。国境の町、ミントへ」と看板があった。ミントはコメタとホンタの間の宿場町として栄えていると聞いた。

「あきちゃん、今日はこの町に泊まるの?」

「そうだね。今日は宿をとって、明日の朝一番に出発しよう」

 たぶん、明日中にホンタには着けるはずだ。

 それよりも。「ぐぅ」とよっちゃんのお腹から音がする。

「お昼ご飯食べようか?」

「うん、お腹ペコペコだよぅ」

 よっちゃんの嬉しそうな顔を見ていると、自分も嬉しくなる。

 近くに食事処があったので入ってみる。

「いらっしゃい。そこのテーブルにどうぞ」

 がたいのいいおじさんに案内され、テーブルに座る。

「旅の人だね。うちのおすすめはリンゴンパスタだよ。それ以外はまずいって評判でね」

「じゃあ、おすすめで。よっちゃんもそれでいい?」

「うん」

 よっちゃんもまずいものは食べたくないようだ。うん、当たり前か。


 注文すると、すぐに料理が出てきた。リンゴンパスタは、まずくはなかったが美味しくもなかった。

 食べ終わって、せっかくなので聞いてみた。

「おじさん、この辺りで最近漂流者が現れたって話を聞いたことはないですか?」

「あるっていうか、目の前に二人」

 あぁ、自分たちのことか。なんでわかったんだろう。服もコメタ王国でもらったものだし、ほかの客との違いはないのでは? と思ったが、よっちゃんの格好はわかりやすく魔女だった。魔女服が気に入っているらしい。

「コメタ王国に漂流者が二人現れて、一人は大魔女になったって話は有名だぜ」

「え、私。有名人? やったぁー」

 あんまり異世界で目立たない方がいいんじゃないかなぁと思ったけど、クラスメイトを探すなら有名になったほうがいいのかなぁ。うーん。

「あのー、私たち以外の話は聞いてないですか?」

 とりあえず、できることをしよう。そう思って聞いてみた。

「ホンタ王国でも一人保護してるって聞いたことあるな」

 おぉ、いるのか。ラッキー。

 じゃあ、次はそれが誰なのかが気になる。

「その人の特徴とかわかりませんか?」

「男ってこと以外は詳しく知らんな」

 男子か、華怜ちゃんじゃなくて残念。残念は失礼だな、反省。

 まぁ、全員探すつもりでいるのでいいかなぁと思った。


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