幕間 吉田ちゃん。異世界に転移する。
眠いと思った。現代人はもっと寝たほうがいいと思う。よし、眠ろう。教室で居眠りだ。すやぁ。
目が覚めた。あれ? 森にいる。あぁ、なんだ夢か。
夢の中でもお腹が空くらしい。困ったと思ったけど、周りにはリンゴがいっぱいあるじゃないか。しゃりしゃり。
目が覚めない。
どこかから「もしもーし、聞こえますかー?」と呼ぶ声がするので元気よく返事をする。
「もしもーし、聞こえてますよー」
木々の間から鎧の集団が現れる。先頭の人、顔こわっ。
顔が怖い人からなんかいろいろ説明されたけど、顔が怖いので話が頭に入ってこない。とりあえず、ここは夢ではなく異世界らしい。で、気づいたらお城にいた。
お城の人たちから聞いた話では、地球人がもう一人こちらに向かっているらしい。私のこと知っている人ならいいなと思っていたら、あきちゃんだった。無意識のうちに、泣きついていた。あんまり意識しないようにしてたけど、私心細かったんだ。
あきちゃんが来てからはあっという間だった。この国で魔法を教えてもらえることになったので、一生懸命勉強した。
この世界の魔法は、火を出したいならば、そのイメージをすると魔力が具現化して、火が出るというものだった。イメージを強化するために詠唱をするらしいが、イメージが強固なら詠唱は省略してもいいとのことだった。
私は詠唱なしでも火や水、風といろいろ出せた。そして、必殺技っぽく名前をつけて叫んでみたら火は炎に、水は水流に、風は竜巻になった。
あきちゃんは、この世界でクラスメイトを探すらしい。「どうなるかわからないから、よっちゃんはコメタ王国に残ってもいいよ」と言われたが、私はあきちゃんと一緒に旅に出る。
だって、あきちゃんの役に立ちたくて魔法を極めたのだから。
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