第6話
一か月が経った。異世界交流が終わった。自分の物語は、そういう路線ではなかったらしい。
そもそも、先人たちのおかげである程度の発展を遂げているこの世界に、高校生の自分たちが教えられるものはほとんどなかった。
例えば、スマホ。自分はスマホの使い方は教えられるが、どういう仕組みでメッセージを送ったり受け取ったりしているのかはさっぱりわからない。仮に仕組みをわかっていても再現できる能力もない。もし、自分が科学者や技術者だったらこの世界に大きな革新をもたらしたかもしれないが、残念。
でも、まったくなにも提供しなかったわけではない。一緒にやってきた教科書は大変喜ばれた。また、娯楽や流行について話したら気に入ってもらえた。
交流の結果、自分たちが得たものについて紹介したい。
まず、時空の歪みについて。詳しいことはわかっていないとのことだった。ただ、昔ある漂流者が「帰る方法を見つけたので、帰ります。さようなら」という言葉を残し、空間大魔法を発動して消えた、という記録が別の国に残っているらしい。
次に、魔法について。結論から言うと自分はこの世界の一般人程度には魔法が使えるようになっていた。そして、よっちゃんは大魔女になっていた。
もともと、地球人はこの世界に漂う魔力を魔法に具現化しやすい体質らしい。なので、自分もすぐに習得できたのだが、よっちゃんは体質と才能に恵まれていた。三日で基礎を習得し、魔女になった。そして三週間で大魔女の先生に認められ、その称号を得た。すごいぞ、よっちゃん。
サンジョさんはコメタ王国に残るなら、衣食住は保障すると言ってくれたが、自分たちはこの国を出ることにした。
「いままで、ありがとうございました」
「お世話になりました」
と別れの挨拶。
「お二人とも、お元気で。ぴえんですの」
使い方あってるのかなぁとも思ったが、まぁいいか。ぴえん。
スタートは遅れてしまったかもしれないが、こうしてクラスメイト探す旅が始まった。
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