第4話
馬車の中では団員の人たちと話していたので、退屈ではなかった。この世界では誰でも魔法が使える。漂流者も使えるようになるなど有益な情報を聞けた。やったぜ、と思っていたら都市が見えてきた。
異様だった。ファンタジーでおなじみの壁に囲まれた都市の中央に天守閣があったからだ。パエリアの中央にかっぱ巻きが置いてあるようなものじゃないか。まぁでも、日本語が通じる世界なのでいいのか。
天守閣に着いた。名前はそのままコメタ城らしい。先に城に入ったマグロウさんが戻ってきた。
「姫様がお会いしたいそうなので、客間でお待ちいただけますか?」
「ええ、いいですよ」
「よかった。あと、リンゴン樹海で見つかった漂流者の方もいらっしゃるそうです」
おお、異世界転移して初めての再開。一体誰だろう? と、どきどきわくわくしながら客間へ向かう。
できれば、友達の華怜ちゃんかよっちゃんだと嬉しい。まぁそこまで都合良くはいかないだろうと思っていたら、よっちゃんだった。おまけにリンゴ付きである。
「あきちゃーーん。会いたかったよぉ。怖かったよぉ」
よっちゃんが泣きながら抱き着いてきた。リンゴは握りしめたままである。
「よしよし。私もよっちゃんに会えてよかったよ。リンゴ食べていい?」
こっちに来てから何も食べてないので、余計に美味しそうに見えた。
しゃりしゃり。リンゴをかじりながら考える。
やはり、クラスメイトも巻き込まれたのだろう。そして、漂流者としてこの世界のどこかにいるのだろう。だったら。
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