第2話

 草原で今後のことについて考える。帰る方法を探すにしても、この世界で生きていくにしても人は一人では生きられない。

 この世界に人はいるのだろうか? いたとしても自分は溶け込めるのだろうか? 考えれば考えるほど不安だ。不安を和らげてくれるものはないかと、周りの教室だったものを見る。目に浮かぶのは、いつもの風景。

 そういえば、転移したのは自分だけなのだろうか? もしかしたら、クラスのみんなもこちらにいるのかもしれない。だったら、探してみようかなぁと決意していたら、遠くから馬に乗った集団がこちらに向かってくるのが見えた。人がいてよかった。近づいてくる集団は、鎧や剣が揃っていて騎士団だろうと予想できた。文明もありそうでよかった。


 こういうのは第一印象が大事だ。自分は無害で困っているただの異世界人だと伝えよう。言葉通じるのかなぁと思ったが、言ってみる。

「こんにちはー!」

「こんにちは。もしかして、地球の方ですか?」

 日本語通じた。優しい世界でよかった。ついでに優しい人たちだともっと嬉しい。

「地球の者です。いつの間にかここにいて困っています。助けてほしいです」

 手を合わせてお願いのポーズだ。

「こちらも時空振動が観測されたので、漂流者の保護と漂流物の回収に来たところです。城まで来てくれますか?」

「はい。喜んで」

 即答だった。




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