第4話 爆発回転!! ソウルスピナーズSS!!
説明しよう! ソウルギアとは! ソウルと呼ばれる不思議エネルギーを動力源にして可動する道具の総称だ!
ジュニアにはホビーとして大人気! 大人には競技として、趣味や嗜みとして、護身用の携帯火器としても大人気だ!
世界各国の軍や警察等の治安維持組織でも正式に装備として採用されており! テロリストや悪の組織の間ではリミッターを解除され兵器として大活躍だ! やったぜ! 頭おかしいぞ!
ソウルギアは基本的にソウルコアを核として複数のパーツで構成されている!
ソウルコアはソウルの吸収と変換と放出が出来る特殊な鉱石を加工して作られた謎の球体だ! プラネット社のみが生産できる解析不可能のブラックボックス! 怪しさムンムンだね!
パーツはソウルの伝導率に優れた様々な金属等の素材で作られる! これはプラネット社だけではなく様々な企業や個人が作成と販売をしている!
公式の規格とレギュレーションはもちろん存在するが、違法なパーツが闇に出回っているぞ! BB団もばら撒いていたね! 名前にダークって付くと使いたくなるよね!
みんな大好きソウルギアは亜種もあるが基本は5種類だ!
ソウルを弾丸にして放出するソウルシューター!
ソウルを回転させて力場を発生させるソウルスピナー!
ソウルを糸に変化させて繋がるソウルストリンガー!
ソウルを蓄えて意のままに操作できるソウルランナー!
ソウルを変換して魂魄獣を生み出すソウルカード!
どのソウルギアも激アツで激ヤバなホビーだ!
ソウルバトルはどれも相手のソウル体を破壊するのが勝利条件! 野蛮でバトル脳すぎるぞ! 超エキサイティング!
「マモル! SS団の奴等が東小学校で暴れているらしい! 急いで倒しに行こう! 俺達の正義の炎で焼き尽くしてやる!」
「マモル君、ダークスピナー使いを捕まえたよ。どうする? 尋問するかい? 昨日ネットで知ったKGB流の良い尋問方法があるんだけど……いいかな?」
「マモル殿! SS団が西小学校にも現れたそうです、いかがいたしましょう? 他校への妨害用に設置しておいたソウル爆弾を起爆して一掃しましょうか? 準備万端です! ミカゲはお役に立ちましたか? ニンニン」
「へへっ……全部俺がやっちまってもいいだろゥ? 許可をくれよマモルゥ、暴れ足りねぇんだァ……」
そして大事なのがソウル体だ! ソウルギアは操者の肉体をソウルに変換する機能を持っているぞ! もちろん肉体を元に戻す機能とセットだ! どこでもドアやワープの話は気にしちゃいけないぞ!
肉体の情報は機体に記憶されるからソウル体がどれだけ傷付いても元通り! バトルが終われば生身の肉体には傷一つ残らないぞ! 公式のバトルのみだけどね! 肉体が戻らない可能性のある違法なバトルはやめよう! ルールとマナーを守って楽しくバトルしようぜ!
「くそ! SS団の奴等め! 廻転町の浄水施設に立てこもるなんて! 許せないよなマモル! 俺達で解決しよう! 灰すら残さずに燃やし尽くしてやる!」
「どうやって突入しようかマモル君? 囮を使って気を逸らすのが無難かな? この前のダークスピナー使いを呼び出して囮にする? 彼なら何でも言うことを聞いてくれるようになったよ」
「マモル殿! 操作室のある本棟へと繋がる地下の共同溝があります、爆破して突破しやすい壁の薄い箇所もバッチリ把握です! 役所に忍び込んで図面のデータを拝借して来ました。ミカゲを褒めてくれます? ニンニン」
「へへっ……全部俺がやっちまってもいいだろゥ? 許可をくれよマモルゥ、暴れ足りねぇんだァ……」
廻転町で大人気のソウルスピナー! スピナー同士をぶつけ合うならソウル体は関係ないって思うよね!
残念だけどソウルギアと操者はソウルで繋がっている! スピナーが傷つけば操者も傷付く! スピナーがバラバラになれば操者もバラバラだ! 人もソウルギアも平等だね! ソウルギアと操者は相棒だからね!
「俺達カイテンスピナーズも遂にBランク上位だな! でもここからは油断ならない強敵ばかりだ! 頑張ろうなマモル! ライバル達を焼き払ってやろうぜ!」
「特に北小の3年生、金星アイジには注意が必要だね、一人だけのチームなのにBランク上位に名を連ねる猛者だよ。北小の生徒と教員は金星アイジの支配下にあるって黒い噂もある。一体どんな方法を……参考にしたいな」
「マモル殿! 拙者に北小に潜入する様に命じてください! 金星アイジのデータや弱点! もしくは弱みを握って来ます! ソウル爆弾は既に設置済みです! えへへ! ニンニン!」
「へへっ……全部俺がやっちまってもいいだろゥ? 許可をくれよマモルゥ、暴れ足りねぇんだァ……」
スピナーバトルとは即ち力場のぶつかり合いだ! 回転によって発生する力場は操者のソウルによって様々な特殊効果を生み出す! 一人一人固有の能力がソウルによって目覚めるぞ! 才能のある操者じゃないとその領域にたどり着けないけどな!
特殊能力が生み出せないとBランクを戦い抜くのはまず不可能だ! ソウルによって生み出された特殊な空間同士がスピナーを中心にぶつかり合う光景は圧巻だ! 見てる分には楽しい! 見てるだけならな!
「俺の“ネオ・レッド・フレイムΩ“は空間内に炎を生み出す! 悪い奴らは絶対に許さない正義の炎だ! 燃やし尽くすぜ!」
我らカイテンスピナーズ副リーダーの赤神ホムラ君。
熱血で炎属性と主人公属性の癖に僕にリーダーを押し付けて来た邪悪な奴だ。自覚の無き者……真の邪悪。
いや、悪が絡まないと良い奴なんだけどね。悪の組織絶対許さないボーイだからな、SS団をソウル体とはいえ躊躇なく燃すヤベー奴だ。
「僕の“ネオ・ブルー・アクアα”は空間内に水分を生み出す! 敵を包み溺れさせる変幻自在の悪夢! 愚か者達に思い知らせるよ!」
カイテンスピナーズで作戦立案が得意な青神ナガレ君。
甘いマスクでナチュラルに下衆な作戦を提案する鬼畜ボーイだ。将来DVしそうな雰囲気の小3男児です。
仲間には優しいけどね、そこが逆に怖いというか何というか……仲間以外は道具として認識してる疑惑のあるヤベー奴だ。
「拙者の“ネオ・ブラック・シャドウρ”は空間内に影を生み出します! 影で敵を縛り影の中で止めを刺す忍びの秘伝です! ニンニン!」
カイテンスピナーズで諜報活動が得意な紅一点の黒神ミカゲちゃん。唯一小学生4年生で僕達の一つ年上だ。
思い込みが激しく、自分を忍者の末裔だと思いこんでいる危ない子だ。忍者の癖に独断専行はしょっちゅうだし、実際に忍者としての能力と才能があるから手に負えない。
やたらとソウル爆弾を使いたがり、女子小学生の癖に国の運営するソウルギア研究所に忍び込み、情報を持ち帰って来るヤベー奴だ。
「俺の“ネオ・ホワイト・ライト∑”は空間内に光を生み出すゥ! 全てを飲み込みィ! 敵を焼いて味方を癒やす白き光だァ! 許可をくれよマモルゥ!」
カイテンスピナーズで特攻と回復が得意な白神ヒカル君。
学校での生活態度は真面目で、同級生や教師からの信頼も厚く、僕の家に来る時は菓子折りを必ず持参し、独断専行せずに僕の指示に従ってくれるとても良い子だ。戦闘行動前に必ず許可を求めるのは律儀で偉い。
チームの良心と言っても過言ではない、精神的にも物理的にも唯一の癒やしだ。バーサークヒーラーだね。
「僕の“シルバー・ムーン”は空間内で引力を生み出す! 敵をすっごく引き寄せる! でも……仲間のダメージまで引き寄せるのはバグじゃないかな? おかしいよね……えっ、仕様なの?」
カイテンスピナーズのリーダーを押し付けられた、この僕、田中マモル。
哀れな転校生、悲劇の男の子、作戦方針は命を大事に、安心安全の安らぎを求めているプリティボーイだ。
最近ソウルスピナーに宿る意志って奴がぼんやりと知覚できる様になって来た。偶に質問に答えてくれる。機体からテレパシー的な物が微かに伝わってくる。
相変わらず精霊っぽい謎生物は顕現しないけどね、他の4人は使いこなしている。他の4人は機体がソウルの光に包まれて進化している、既に2回ずつパワーアップした。
僕のシルバー・ムーンだけ初期機体のままだ。おいおい……酷くない? オモチャ売る気無いよね? 売れ残るぞ? 僕のシルバー・ムーンだけ。
そのせいで僕は攻撃力が低い、代わりに防御力と持久力はそれなりだ。カッチカチやぞ。
なので、個人戦では持久戦に持ち込みで相手の息切れを狙い、集団戦では敵を引力で引き付けてダメージも肩代わりするヘイトタンクを担っている。
おかしい、おかしいよね?
平穏なる安心と安全を誰よりも望んでいる僕が1番痛くて辛い思いをするなんて……ヒカル君が回復してくれなかったら僕は死んでいるんじゃないか?
確かにミタマシューターズでも回避盾みたいな立ち回りをしていた。それでしかチームの役に立てなかったからだ。
でも、カイテンスピナーズではもっと酷い目にあっている。ヒカル君が治せるから多少の被弾はOKみたいな空気が蔓延しており、幾ら被弾しても大丈夫な盾扱いされている気がする。僕はリーダーなんだよね?
警戒していたはずなのにこうなった。転校初日が危険だって事は嫌と言う程理解していた。
だから、クラスメイトヘの挨拶で僕はソウルスピナーが嫌いだって宣言した。
赤い髪のホムラ君が、火属性で主人公体質な事にひと目で気が付いて目も合わせないようにした。話しかけられても塩対応、転校初日に終業と共に自宅に直帰した。
SS団が諸悪の根源だ。廻転町を中心に極悪非道を尽くす悪のスピナー組織であるSS団が全て悪い。二番煎じの癖に腹が立つ。BB団と色々と被ってんだよ。
転校初日の帰り道で僕はSS団に誘拐された。ピース・ムーンで抵抗したが、廻転町ではソウルシューターは思うように操れなかった。
町のソウル傾向がそこまでソウルギアの運用に影響を及ぼすとはその時は理解してなかった。
30人程撃ち倒した所で敵の幹部っぽい少年にやられてしまった。空間内に薔薇と茨を生み出すスピナー使いで、後にSS団の四天王の一人だと発覚した。道理で強いはずだよ。
あえなく拘束され、廻転町内にある奴等の基地の一つに連れて行かれた。
独房には僕の他にも3人の子供が捕まっていた。全員町内のスピナー使いらしく、誘拐されていた割にはやたらと血気盛んな小学生共だ。
そして、しばらくするとホムラ君が僕を助けに基地まで乗り込んで来た。ソウルスピナーを嫌う僕の事が気になって後を付けていたらしい。
あれ程塩対応をしたのにお人好し過ぎる……というか大人や警察に通報して欲しかった。無策で誰にも知らせずに飛び込んできたらしい。
乗り込んで来たホムラ君は善戦したが、徐々に押されていった。基地にはSS団の四天王4人が揃っており、序盤にありがちな舐めプせずに一斉に掛かってきたから仕方ない。
そのままホムラ君が負けてしまったら、僕は改造か洗脳コース待ったなしだ。
そう思った僕は、監禁されていた他のスピナー達の牢の鍵を隠し持っていた“シルバー・ムーン”で破壊、それぞれのソウルスピナーを僕が囮になって何とか取り戻し、彼等と共にホムラ君に加勢して四天王を即席のチームプレイで倒して基地を脱出した。
その時の3人のスピナーがナガレ君、ミカゲちゃん、ヒカル君だったのだ。
後日、SS団の凶行に憤慨して意気投合、盛り上がった4人は何故か僕をリーダーとしてチームを結成しようと言い出した。
もちろん僕はスピナー初心者なのを理由に渋ったが押し切られてしまった。説得されてリーダーを引き受けてしまった。
仕事で留守しがちで連絡もろくに取れない父さんはあまり頼れない。この世界の警察は基本的に無能なので信じられない。自身の身を守る為にチームに参加する事自体は必須だったからだ。
ホムラ君も、捕まっていた3人もスピナーとしての素質は疑いようがなく、守ってもらうには丁度良いと考えた。
今にして思えば浅はかな選択だった。リーダーなら後方の安全な所で指示していても大丈夫だと甘い考えを抱いた。
ソウルスピナーの腕前を磨き、自分がスピナーバトルでは防御寄りの戦闘方法が適している事に気が付いた。
なので、集団戦における僕の動きは、基本的に火力特化な仲間達を活かす為に、彼等への攻撃を防ぐような立ち回りに落ち着いた。
それがいけなかった。真面目にチームの事を考え過ぎて自ら危険な方向へと舵を切ってしまったのだ。固有能力の引力を発現した頃には引き返せない程にチームの方向性は定まっていた。僕というメイン盾がいなければチームが機能しなくなる程に事態は進行していた。
我慢するしかないのか? SS団を壊滅させるまで僕に平穏な日々は存在しないのか?
カイテンスピナーズは廻転町のジュニアスピナーの間ではかなり有名だ。
SS団と戦っているので感謝と尊敬もされているらしいが、同時に戦闘時の激しさとランク戦での手段を選ばない戦いっぷりから恐れられてもいる。
この前なんて道ですれ違った見知らぬ中学生に敬語で頭を下げられた。話を聞くと、町の噂ではリーダーである僕の指示で全ての凶行が行われた事になっているらしい。
ミカゲちゃんが町内の小中学校は大体爆発させてるから悪名が取り返しの付かない事になっている……
派手に燃すホムラ君、敵を精神的に追い詰めるナガレ君、爆裂忍者のミカゲちゃん、良い子だけど戦闘中の発言は苛烈なヒカル君。
彼等にはとんだ濡れ衣を着せられたもんだ。僕が命令しただって? ヒカル君以外はろくに指示なんて聞きやしない。燃やすなって言っても燃やすし、尋問するなって言ってもするし、爆発させるなって言っても爆発させる。
確かに頼りになる仲間ではある。なんだかんだ言っても友達でもあるし嫌いな訳じゃない。
だけど、取りまとめる身としては胃が痛い、もう少し大人しく暴れてくれないか? 廻転町に引っ越して来て半年以上が経ったが、気の休まらない日々が続く。
そんな事を思いながらコタツに入って駅伝を見る。御玉町のリク君が送ってくれたみかんを食べる……甘くて美味しいなあ。去年は散々な正月だったからなあ。
今日は元旦、お正月の朝だ。偶にはゆっくりのんびり過ごしてもバチは当たらないだろう。父さんは元旦から仕事らしい、勤労には頭が下がる。
さて、モチでも焼いて食うか。今日はきな粉モチの気分だ。暮れに買っておいた切り餅ときな粉……あれ? 砂糖切れてたっけ?
次の瞬間衝撃を感じた。凄まじい振動と轟音が僕を襲う。
ああ!? 手に持ったきな粉が床に!? 去年買い替えたホットカーペットが……そんなあ、気に入っていたのに……
「なんだよ!? ミカゲちゃんが爆発を起こしたのか!?」
元旦に何やってんだあの爆破したガールは!? 今度はどの学校を爆発させたんだ!?
「誤解ですマモル殿! 拙者はずっとここにおりました! ニンニン」
「ひぃ!?」
コタツの中からミカゲちゃんが飛び出して来た!? えっ……何で!? 何時からそこにいたの!? えっ? えぇ!?
「大変だぜマモル! SS団が町をソウルワールド化させた! 俺達の中央小学校の地下から奴等の要塞が出現した! 町は大騒ぎだ!」
「マモル君! SS団はどうやら金星アイジに乗っ取られたらしい! 独楽造博士のムーンアトラクト計画が強引に最終段階へ移行したみたいだ!」
庭先に飛び込んできたホムラ君とナガレ君の声が聞こえた。なんかデジャブ? なんかこの展開知ってる……
ピンポンとインターホンが鳴る、カメラを確認して玄関を開ける。
「お邪魔するぜぇマモルゥ! あけましておめでとゥ! 今年もよろしくゥ! これは実家で作ってる饅頭だから良かったら家族と食べてくれェ! あと要塞に突撃する許可をくれェ! 暴れたりねぇんだァ……」
「あけましておめでとう、ヒカル君。お饅頭もありがとうね、この前の最中は父さんも美味しいって言ってたよ。許可はちょっと待ってね?」
ヒカル君と共にリビングまで戻る。3人がコタツに入ってみかんを食っていた。勝手に人の家で寛いでる……
「あっ、マモル殿! 廻転町の中心に出現した建造物は“地上要塞ヴィヌス“と言う名前です。地下でソウル化させながらSS団が密かに建造していたものですね、もちろん拙者は予め潜入してソウル爆弾を要塞各所に設置しております! ふふ、偉いでしょう? ニンニン」
「流石ミカゲさんだぜ! 早速突入出来るな! ……うん! このみかん甘くて美味しいぜ!」
「ミカゲさんが入手した設計図を見ると、外観からは鉄壁に思える壁も内部からの爆発には耐えられないみたいだね。……確かに美味しいみかんだ。良いソウルの土地で育てられた味だよ」
「ヘヘっ……流石だぜミカゲの姉御ォ。これで備えは万端だなマモルゥ、何時でも突撃出来るなァ?」
……きな粉を掃除してからじゃ駄目かな?
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