第28話 親友・春花のオトコマエ





「ちょっと、あんたたちっ!!!!」


 教室中に凛とした声が響きわたったのはそのときだった。


「みんなで寄ってたかって、いい加減にしなさいよっ!!!!」


 小柄な春花が拳を腰に当て、はっしと譲治たちをにらみつけている。


 ほっそりと薄い肩を精いっぱい突っ張らせた春花は、さらに叫んだ。


「大勢でひとりをいじめるなんて、そんな卑怯、絶対に許さないからっ!!!!」


 男子も女子も、みな呆気に取られて春花を見ている。

 譲治と裕也も、顔を見合わせたまま黙ってしまった。


 真っ白な沈黙のあとで、すぐに反撃が開始された。


「なんだと? おめえ、だれに向かって言ってんだ?」

 譲治がジャミジャミした訛声で春花を怒鳴りつける。


 だが、春花も黙っていなかった。

「だれに? そこの卑劣なあんたたちに決まっているじゃないの。みんなでグルになってたったひとりの女子をいじめている、人間として最低のあんたたちにさ!」


「な、なにい、もういっぺん言ってみろ!」

「ああ、何度でも言ってやるよ。大勢で群れになってひとりをいじめるのは、気の小さいやつのすることだよ。本当に強い人は決してそんなことしやしないんだよ」


 三角に目を尖らせた譲治が春花に殴りかかろうとした。

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