第12話「シュウカク1」
次の日の放課後。
お料理部一向は学園敷地内にある畑に向かっています。
マリネ先輩の言いつけで皆さん体操着を着ています。
「と、遠い……てかなんで体操着なん」
「頑張るんだジュレ。ゴールには新鮮採れたてほうれん草が待っている」
ジュレ先輩が音を上げる程に私立百合ヶ丘学園の敷地は広大です。
さらに畑がある場所となると用向きがない生徒は、卒業まで田んぼの存在を認知しないかもしれません。
「学園内にまさか田んぼがあるなんて、びっくりです」
「びっくり」
「あ、いたいた〜お〜い〜」
マリネ先輩は畑に向かって手を振っています。
そこには作業服を着て農作業に勤しむ金色の髪の女の子がいました。
「アラ、マリィ。キテクレタノデスネ」
「もちろん。えぇこちらは農業部のクリスティーヌさんです」
「ゴキゲンヨウ」
クリスティーヌさんはペコリと頭を下げます。
「でこっちがお料理部のメンバーです。左からポワレ、ロティ、ジュレ」
『よろしくお願いします』
三人は頭を下げます。
「ワタシトテモカンゲキデス。ウレシイワァ。サッソク、シュウカクシマショウ」
クリスティーヌさんは目を輝かせて手を合わせています。
「シュウカク? どういうことマリ」
マリネ先輩は何も言いません。
「オヤ、ドウサレマシタカ?」
「クリスティーヌ、着替えはどこ?」
「アッチデス」
「よぉし、それではみんなで楽しくぅレッツ、シュウカク!」
「シュウカク!」
クリスティーヌさんだけが楽しそうに反応して、三人はジッと二人を見つめています。
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