第10話「餌やりフィナンシェ」

 ロティさんが無事にお料理部に入部して一週間が経ちました。

 お料理部は基本的に部室が調理室になります。

「えぇと、お料理部は明日、田んぼに行きます」

「田んぼ?」

 突然のマリネ先輩の発言にお料理部の皆さんは驚きます。

「明日ほうれん草を取りに行くことになりました。……貰いに行くことにななりました」

「なんか言い直した」

 机の上には紅茶が入ったティーカップ四つと美味しそうなフィナンシェが。

 フィナンシェはポワレさんとジュレ先輩が作ってくれました。

 グラニュー糖と蜂蜜、卵白の優しい甘みで包まれたフィナンシェは、香ばしい焦がしバターの風味が決めてです。紅茶ともよく合います。

 三時のおやつにぴったりです。

 蜂蜜が入っているので少しお疲れの方にもオススメです。

 ロティさんは驚きながらも食べる手を休めません。

「むしゃ……みょううれん草で……むしゃ……なゃにか……むしゃ……作るのでっしゅか?」

「ロティちゃん食べてから喋り」

「すいましぇん……むしゃ……このお菓子おいしくて……むしゃ」

 ポワレさんはニコニコとご機嫌なご様子で、ロティさんの為に次のフィナンシェを差し出します。

「ポワレちゃん、ありがとうございます」

「うん」

「ポワレも先からロティに餌やるのやめえぃ」

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