第5話「ロティさんの呪い」

「ここは調理室で私たちはお料理部」

「お料理部……」

「私が二年の井宮茉莉、マリネって呼んで。でこっちが同じく二年の遠野珠莉、ジュレって呼んでる」

「よろしくなぁ」

「あ、あのお二人は姉妹なんですか?」

「ジュリマリだから?」

「よう言われんねん。双子なんって」

「違うんですか?」

「ちゃうちゃう。まず苗字ちゃうやん。喋り方も容姿も全然ちゃうやろ」

 マリネ先輩はぼさぼさ髪に眼鏡。締め切り前の漫画家さんでしょうか。

 対してジュレ先輩は清潔なロングヘアにカーディガンにはシワひとつ見当たりません。

「た、確かに」

「でさっき牛フィレ肉のステーキを作ってくれたこの子が一年の奥村奏。私たちはポワレって呼んでる」

 ポワレさんは恥ずかしがり屋さんなのか、頬を染めて小さな声で「どうも」と言います。

「わたしも一年生ですっ。よろしくお願いしますポワレちゃん」

 二人は握手しました。

「……名前」

 ポワレさんは呟きます。

「あわわ……わたしとしたことが……デヘヘ。わたしは花森杏蜜です。アンちゃんって家族にはよく呼ばれます」

「アンちゃん……」

「よぉおし決めたぁあ! 部員第四号の君の名前は今日からロティと命名する!」

 マリネ先輩は眼鏡を光らせて叫びます。

「えぇえええ!? ろ、ろてぃ?」

「え、だってお肉食べたから部活入るんだよね?」

 不思議そうにマリネ先輩は聞きます。

 あわわわ……と杏蜜さん(以下ロティさんとします)は困惑気味です。

「わ、わたし……」

「う、うん」マリネ先輩。

「わ、わたし……」

「どうしたん?」ジュレ先輩。

「わ、わたし……」

「ロティちゃん?」ポワレさん。


「実は……料理が作れない呪いに掛かってるんですっ!」

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